盲導犬ロンドが生きている証し 「最期に『お母さん』を思い出してね」

★出口汪監修「きみと歩けば」(5)

2014.02.09


出口すみ子(著)、 出口汪(監修)、 設楽みな子(イラスト)『きみと歩けば』(水王舎)【拡大】

 お父さん(汪氏)が「ロンド(盲導犬候補の子犬)にとってお母さんは特別なんだね」と言いました。所用で関西盲導犬協会に数日間預かってもらったときのこと。迎えに行く前に「真っ先に誰のもとに行くだろう」という話をしていました。私はてっきり次男のみいくんだと思っていたのです。

 「たまたま私のところに来ただけだよ」

 「他の人にはあんな甘え方はしないよ。今日も、みんなの顔を見て、ちゃんとお母さんを選んで飛びついて行ったんだよ。ロンドは賢いからその点は間違いない」

 「そうかなあ、(長男の)だいちゃんやみいくんのことも好きだよ」

 「うーん、でも違うんだ。2人のことは好きだけど、お母さんのとは違うんだ。お母さんはロンドにとってもお母さんなんだよ」

 それを聞いて私は胸が痛くなりました。いつかロンドが卒業して協会に引き取られる日が来たとき、もう二度と会えないのに、ロンドはいつの日か私が迎えに来てくれるものと信じて待ち続けるのでしょうか。

 いいえ、きっとロンドは盲導犬になっても、その家族を愛し愛されることに精いっぱいで、私たちのことなんか思い出す暇なんてないでしょう。それは私たちを忘れたのではなく、ロンドがそこで一生懸命生きている証しなのです。

 人は死の直前、走馬燈のように今までの人生を思い出すといいます。やがて天に召されるとき、子犬時代一緒に暮らした私たち一家のことを、そして「お母さん」のことをほほ笑みながら思い出してくれるに違いない−。私はそう信じています。(出口すみ子)

 ■でぐち・ひろし 東京都生まれ。関西学院大大学院日本文学科博士課程修了。旺文社ラジオ講座、代々木ゼミナール、東進衛星予備校などの講師で爆発的な人気を博す。論理力養成プログラム「論理エンジン」は、全国の中学・高校で250校以上が採用。『好きになる現代文』シリーズなど著作売り上げは累計700万部を超える。

 ■でぐち・すみこ 大阪府生まれ。大阪府立大卒。予備校講師を経て結婚を機に専業主婦となる。繁殖犬ボランティアとして活動。夫の汪氏が監修した著書『きみと歩けば』(水王舎)は4日発売で、すぐに重版が決まった。

 

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