建築費&土地代高騰で断末魔の悲鳴… デベロッパーの事業構造は脆弱

2014.02.23


デベロッパーの悲鳴が聞こえる(写真と本文は関係ありません)【拡大】

 マンション業界は大変なことになっている。事業の継続が危うくなっているのだ。原因は、建築費の高騰。昨年の春あたりから「建築費が上がった」という声が聞かれるようになったが、今も上がり続けている。

 業界内では2つの基準がある。1つは「戸当たり」。マンション1戸を作るのにいくらかかるのか。これが2300万円に達しているそうだ。この1年で2割程度上がったことになる。

 もう1つの基準は「坪単価」。床面積1坪当たり、建築費がいくらかかるのか。こちらは軽く100万円を超えた。私は四半世紀以上マンション業界に関わっているが、一番安いときは45万円くらい。最安値から倍以上になってしまった。

 マンションというのは、建築費もさることながら、土地代も大きい。こちらも、事業に適した都心とその近辺では値上がりしている。

 土地代は「一種○○万円」という指標が使われる。これは、その土地に建築できる床面積1坪当たりいくらになるかというもの。例えば、300坪の土地があって容積率は300%だったとする。建築できる最大の床面積は900坪。その土地が9億円なら「一種100万円」となる。

 新築マンションの販売価格は「原価積み上げ方式」で決まる。

 建築費が1坪当たり100万円、土地代も100万円だったとする。それだけで坪200万円の原価が発生する。さらに設計料、モデルルームの建築費や用地費、販売会社に払う手数料、広告宣伝費、近隣対策など諸々の経費を加え、デベロッパーの利益を15%から20%程度乗せると、販売価格は1坪当たり330万円程度になったりする。

 76平方メートル(23坪)のマンションだと7590万円。普通のサラリーマンでは買えない。実はこれ、新宿区で販売されているタワーマンションの価格だ。

 前述のように建築費は1坪100万円を超えた。土地代も「一種」で換算すると、山手線の外側でも100万円に達している。つまり、東京の都心やその周縁部でも、販売坪単価330万円以下で事業を行うことは極めて困難ということだ。

 港区や千代田区の好立地なら、それでも売れるが、山手線の外では難しい。

 ではどうするのか。デベロッパーの利益を削るしかない。15%から20%取っていた利益を10%、場合によっては5%で事業計画を立てるのだ。

 これはかなり危険で、予期せぬ出費、例えば、近隣でもめる、販売不調で値引きせざるを得なくなる…があればたちまち事業自体が赤字になる。

 だいたい計画段階で5%の利益率なら、事業自体をやらない方がいい。

 リーマン・ショックの後、デベロッパーはバタバタと倒産した。原因はただ1つ。高くて売れない物件を作りすぎたから。デベロッパーの事業構造は、かくも脆弱。今回も「いつか来た道」をたどらなければよいが…。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。不動産会社の注意情報や物件の価格評価の分析に定評がある(www.sakakiatsushi.com)。著書に「年収200万円からのマイホーム戦略」(WAVE出版)など。

 

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