「休眠預金」の活用難題どうクリア? 一斉払い出しなら資金ショートも

2014.02.26


全銀協(国部会長)も後押しするが、一筋縄ではいきそうにない【拡大】

 自民、公明の両党は、金融機関で10年以上も取引のない「休眠預金」について、公共的な事業の財源として活用する案を検討している。今通常国会に議員立法の形で法案を提出する方向で、金融界も「最大限協力する」(国部毅全銀協会長)と前向きな姿勢にある。

 しかし、実現までにはクリアすべき問題も残されている。

 最大の課題は、休眠預金を活用した事業がうまくいかず損失が生じた場合。休眠預金はあくまで預金者のお金であり、払い出し請求があれば応じなければならないが、その際に十分な資金手当てができるのかという点にある。仮に一斉に休眠預金の払い出しが行われた場合に、お金の入りと出で資金ショートする可能性もあるというわけだ。

 そもそも休眠預金の活用が浮上したのは今回が初めてではない。民主党政権下の2012年2月、政府の「成長ファイナンス推進会議」(議長・古川元久国家戦略担当相)は、金融機関が毎年、雑益として計上している休眠預金を基金として第三者機関に移し、非営利組織(NPO)やベンチャー企業投資といった日本の成長マネーとして活用する案を検討した。

 金融機関に滞留している休眠預金は巨額。長年、資金の出し入れがなく、預金者の所在がわからなくなっているもので、「高齢化の進展もあり、預金者が亡くなるなどし、そのまま放置される預金口座は増加傾向にある。休眠口座の維持・管理は事務・システム上、無視できないコスト負担になっている」(メガバンク幹部)と言われる。

 このため、金融機関は基本10年間、解約・払い出しなどの要請のないものについては、預金者の権利が消滅したものとみなし、金融機関の利益として計上していいことになっている。その額は年間1300万口座、850億円にも達する。

 だが、こうした休眠預金はもともと預金者のもの。憲法上の財産権を侵害するとの指摘もあり、「10年や20年前の預金通帳でも、取引印鑑と一緒に通帳や証書を発行した銀行の支店にもっていけば、確認のうえ利息とともに引き出せる」(全銀協)としている。

 預金者の引き出しに備え、「元帳は支店ごとに永久保存されており、戦前の口座情報も管理されている」(メガバンク幹部)という。

 実際、毎年、約4割にあたる350億円あまりの休眠預金が払い戻されており、差引500億円が残るが、法人税を加味すれば、活用できる財源は300億円程度まで減少する。さらに「地域金融機関の中には、休眠預金の益金が年間収益に占める割合が高いところもあり、影響が大きい」(金融筋)とも指摘される。

 与党の素案によると、金融機関に滞留している休眠預金について国が金融機関に一定の手数料を払って預金保険機構に移管した上で、公共分野に資金配分する仕組みが想定されている。しかし、資金の配分方法については、「国が主導する」「民間団体に一部委託する」「都道府県に委託する」という3案が併記されており絞られていない。

 また、肝心な移管された資金をどのような分野に使うのかの資金使途については、まさにこれからの状態。安全な事業に充当することが大前提だろうが、実現までには紆余曲折が予想される。

 ■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。

 

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