お金を追わず、人を追う 「千房」中井政嗣社長

★「千房」中井政嗣社長(68)

2014.03.10


大阪のコナモン文化の“象徴”千房・本店【拡大】

 1973年、大阪千日前に1号店を開店して以来、お好み焼き一筋に歩み、昨年12月に開業40周年を迎えた「千房(ちぼう)」。高級レストランに優るとも劣らない格調高いお好み焼きと鉄板ステーキの店「ぷれじでんと千房」、お好み焼きとともに本格的創作鉄板料理を楽しめる「千房Elegance」とあわせ、経営するのは千房株式会社の名物社長、中井政嗣氏(68)。人材育成にも定評があり、2009年からは元受刑者も受け入れている。

 中学を卒業すると尼崎にある乾物屋にでっち奉公。父からは「1年は帰ってくるな」と言われ、ただ黙々と汗を流した。20歳で卒業し、義理の兄が経営するレストランに転職。毎日始発から終電まで、365日休む暇もなく、料理のイロハをたたき込まれた。

 その後、義兄から「店をやれ」。「資金がない」というと、「いらないんや、老夫婦が店を譲る人を探しているんや」。それがお好み焼き店だった。だが、最初はまったく売れなかった。

 そこで出前のカゴを下げたまま自転車で走り回ると、出前の注文が入った。メニューをポストに入れると、店にも客が来るようになった。ところが6年たった頃、急に地主から「出ていってや」と言われ、途方に暮れるが、付き合いのあった信用組合の理事長が「応援したるで」と言ってくれ、無担保で3000万円の融資を受けて、難波千日前に出店。これが「お好み焼き 千房」の始まりとなる。

 ところが思うように客が来ない。毎日深夜までスタッフとミーティングして、いろんなアイデアを飛び交わす中で、「絵馬」を景品にすることを考えつく。たまたま受験シーズンの幸運も重なり、日商10万円を記録する。ただし、「うちは神社やない」と、絵馬代を募金。これが反響を呼んだ。「お金が欲しかったら、お金を追ったらあかん。人を追いなさい」。そう教えてもらった。

 でっち奉公に出された際、父はもう一つ言葉を贈っている。「自立しなさい」。親元を初めて離れる15歳の少年にとって、その意味など分からなくていい。ただ、独り立つ、そのときまで息子の背中を押せればいい、と思って投げかけられた言葉であろう。

 刑務所内で面接を行う際にも、人の背中を押す言葉を中井氏は強くやさしく投げかけているような気がする。(細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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