私立大学間の格差が拡大 格付け取得は資産運用の巧拙が重要

2014.03.12


ハーバード大の運用手法に注目する日本の私大【拡大】

 入学シーズンを迎える。希望に燃えた多数の若者が大学のキャンパスにあふれることだろう。その一方で、少子化による学生数の減少や、国公立大の独立行政法人化などに伴い、大学間の競争は激化している。とくに私立大学では優秀な教授陣の確保や設備・カリキュラムの充実度に応じて格差が広がっており、定員割れを余儀なくされた私大も少なくない。

 そうした競争は、大学の資産運用の場にも反映されている。各私大が開示する2012年度の財務諸表では、年間約35億円もの資産運用収入を計上した慶応大をはじめ有力私大が上位に並ぶ半面、年間の運用収入が1億円に満たない私大も多く、運用の巧拙により台所事情が左右される傾向が強まっている。

 大学の財政は、入学金や授業料、国からの補助金、寄付金といった安定収益が見込める一方、支出は教育研究費や奨学金、校舎などの施設設備費と計画だっており、長年、安定した業種に位置付けられてきた。

 しかし、少子化の波は確実に大学の財政を圧迫しつつある。経営はこれまでのような紋切り型では立ち行かなくなっているのが実情だ。資産運用の高度化はまさにその試金石と言っていい。

 「リスク資産へ運用を拡大する際、ハーバード大やイエール大など、この分野で先駆的な取り組みを行っている米国の大学基金をモデルにしたい」(ある私大教授)という。

 数兆円もの運用資産(基金)を持つハーバード大は、独自の運用モデルを持ち、「運営費の3分の1」は運用益で賄う高いパフォーマンスを誇っている。対象も、債券や株式といった伝統的な資産だけでなく、不動産やヘッジファンド、プライベートエクイティなどのハイリスク資産も果敢に運用している。

 日本の有名大学もこうした米国の有力大学を見習いたいというわけだが、そこには思わぬ落とし穴も待ち構えている。

 「100年に1度」と言われた2008〜09年当時の世界的な金融危機では、それまで年平均15%もの高いパフォーマンスを上げていたハーバード大でも基金残高を80億ドルも減らした。同様に日本でも08年10月、デリバティブ投資で巨額な損失を計上し、経理部門の責任者らが辞表を提出する騒ぎとなった駒沢大のケースは記憶に新しい。

 同大は154億円の損失を出し、運用商品を販売した証券会社と訴訟にもつれ込んだ経緯がある。

 その駒沢大も直近の2012年度の資産運用実績では、前年度に10%アップの2億円の収益を上げるまで回復している。過去の苦い経験が運用の高度化に結びついた好事例と言える。

 大学の資産運用では、「大学が格付けを取ることが、プレッシャーになっている」(先の私大教授)との指摘もある。

 高い格付けを得られれば大学の信用力が増すだけに「格付け取得が大学のブランドを決める」(同)とさえいわれる。

 そして高い格付けを得るためには、財務内容の善しあしが決め手になる。資産運用の巧拙が一層、重要度を増すことは避けられない。

 ■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。

 

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