50代の退職資産格差が拡大 アベノミクス相場で持てる人だけがうまく運用

2014.04.23


サラリーマン1万人のアンケート結果【拡大】

 前回、50代の退職準備格差が大きく、これが老後の生活において究極の格差につながると懸念を示した。しかし、さらに気になるのが、3年前と比べてその格差が拡大していることだ。

 サラリーマン1万人を対象にした2010年と13年のアンケート結果を比べると、50代男性のサラリーマンのうち老後資産0円と回答した人は、27・7%から28・2%とほとんど増えていない。一方で1000万円以上の老後資産を持っているという人は23・8%から28・8%へと、この3年間でちょうど5ポイント増えた。

 この格差の広がりは何を意味しているのか。老後資産0円の人の比率は変わらず、1000万円以上の比率が5ポイント増えているということは、格差の拡大が下ではなく、上に振れて起きていることを示している。すなわち、「持てる人が増えて、持たざる人は相変わらず持たないまま」、という事態が起きているということだ。

 そう考えると思いつく理由の1つは、資産を持っていた人がそれをうまく運用をしていたということだ。承知の通り、12年11月から株式相場が反転し、為替も円安に振れたことから、投資をしている人はかなり資産を増やしたはずだ。アベノミクス相場の恩恵にあずかったということだろう。

 そこで、サラリーマン1万人のアンケート結果=図=をみてみよう。「投資をしている」との回答結果を、老後資産の保有高でクロス分析してみると、1000万円以上の老後資産を持っている人で投資をしている人の比率は57・5%。なかでも3000万円以上だと7割にも達している。一方で、老後資産0円を自認している人で投資をしている人の比率は18・4%に過ぎない(運用する資産は持っているが、それは老後の生活資産ではないという人)。

 明らかに、「老後資産を多く持っている人ほど投資をしている」、またはその逆で「投資をしている人ほど老後資産を多く持っている」ということが言えそうだ。しかも、この比率の格差はかなり大きい。

 もちろん、老後資産0円の人が「資産がないから投資ができない、投資ができないから資産が増えない」という鎖を断ち切ることは、簡単ではないだろう。しかし、資産0円からでも毎月積立で投資を始めることはできる。

 また、約半数を占める「0円ではないが1000万円未満の老後資産を持っている人」はもう少し投資のことを考えてみてもいいのではないか。この層では3割しか投資をしていない。無理をする必要はないが、このままでは決して安心した老後を迎えられるとは言い切れない。

 ■野尻哲史(のじり・さとし) フィデリティ退職・投資教育研究所所長。1959年生まれ。一橋大卒。82年、山一証券入社。山一証券研究所でエコノミスト、ストラテジスト、米ニューヨーク在住アナリストなどを経験した。98年からメリルリンチ証券調査部、2006年にフィデリティ投信へ入り、07年より現職。『老後難民 50代夫婦の生き残り術』(講談社+α新書)など著書多数。

 

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