本日は、回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングス(埼玉)をピックアップする。昨年11月に元気寿司と経営統合したが、直近の同社の実態はどのようになっているのだろうか。2014年2月期の決算書から読み解いてみよう。
まず、貸借対照表=〔1〕=を見てみよう。純資産は資産全体の3割程度である。安全性の面で大きな問題はないが、やや心もとない。有利子負債に依存している財務体質であることは否めない。
次に、損益計算書=〔2〕=を見てみよう。売上総利益(粗利益)が売上高の約半分あり、利益率は悪くない。しかし、原価や人件費の増加、テレビCMなどの販促費の増加により、営業利益や経常利益は赤字に転落してしまった。
同業他社との競争激化に加え、同社は12月中旬に起こした食中毒事故による影響で売上が低迷している。その挽回を図ったものの、思うような効果が現れなかった。
最後に、キャッシュ・フロー計算書=〔3〕=を見てみよう。本業での苦戦が現れているように、営業C/Fがギリギリのプラスである。投資C/Fのプラスは、定期預金の払戻や有価証券の償還で資金を確保した結果である。他方、財務C/Fが借入金の返済などで大きなマイナスとなったため、手元のキャッシュが大きく目減りした。
同社は銀行から88億円の貸出コミットメント契約を取り付けたため、当面の資金繰りは問題ないだろう。ただし、同契約は2期連続赤字にならないことが条件になっている。したがって、翌期は何が何でも黒字にしなければならない。元気寿司との経営統合で、業績を立て直すことができるか。今後に注目である。
■川口宏之(かわぐち・ひろゆき) 公認会計士、早稲田大大学院非常勤講師。1975年、栃木県出身。専修大経営学部卒。図を多用した会計に関するセミナーは会計の素人にも分かりやすいと評判。著書に『決算書を読む技術』(かんき出版)。