素人主婦が介護事業を起業 15年で従業員350人規模

2014.05.30


介護事業を着実に成長させている北爪さん(中央)【拡大】

 「主婦業」という言葉があるように、家庭を支える主婦は家事のプロ。その主婦が外に出て社会とつながる仕事を始めるのも「人生二毛作」だろう。北爪(きたづめ)初江さん(56)が「社長業」に転身したきっかけは、夫の会社の経営危機だった。

 嫁ぎ先はもともと建設関連の会社を営んでいた。近くに住む夫の両親に3人の子供を預け、自分は経理の仕事をして2代目経営者の夫を支えた。役所の仕事を引き受け経営は順調だったが、バブル崩壊後は一転して資金繰りに追われるようになってしまった。

 「何しろお金の問題が大変でした。このままでは全部ダメになっちゃう。私が何かやろう」と起業を決意。1999年7月、東京都足立区に介護サービスの会社「わかばケアセンター」を立ち上げ、北爪さんが代表取締役に就任。41歳のときだった。

 当初は仕事がなく苦労したが翌年、介護保険制度がスタートしてから順調に回転するようになり現在、社員は約100人、ヘルパーは250人、足立区内に8カ所の営業所を擁するまでになった。地元産の食材を使ったレストランも経営している。

 成功の要因は「どんな仕事でも断らず、どんな遠いところでも行ってサービスをした、というのがあると思う」という。役職による賃金格差を是正し、登録ヘルパーにも有給休暇制度を適用していることで、「足立区ワーク・ライフ・バランス企業」に認定されている。従業員の定着率も高く、それがまた地域密着のサービス向上にもつながっている。その後、夫も自分の会社をたたんで妻の事業に参加。

 「主人は私が苦手な部分を補ってくれます。子供たちもうちで働いているし、ありがたいと思わなきゃいけませんね」

 「素人が始めた会社」を15年で従業員350人の企業に成長させたのだから、かなりの経営手腕。「足立区の一番になる」が目標だった。「それは達成したのでは」との問いに「周りは達成したと言っているけれど、どうなのかな」。次なる目標は保育園の開設で、「近い将来、保育園とデイサービスの施設を同じ敷地に作りたい」という。

 さらに「介護用品の新規事業も計画」と、夢がどんどん膨らむ。この勢いだと何年か後には「東京で一番」の会社になっているかもしれない。

 ■大宮知信(おおみや・とものぶ) ノンフィクション・ライター。1948年、茨城県生まれ。中学卒業後、東京下町のネジ販売会社に集団就職。ギター流し、週刊誌編集者など二十数回の転職を繰り返し、現在に至る。政治、経済、社会問題など幅広い分野で執筆。新著「死ぬのにいくらかかるか!」(祥伝社)など著書多数。

 

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