普及が進む「3Dプリンター」求められる安心・安全な使い方

2014.06.05


(1)湘南藤沢キャンパスの図書館1階に開設された「Fabspace(ファブスペース)」【拡大】

 Q:最近、3Dプリンターが話題です。個人でも複雑な立体物を作れる半面、拳銃を作った人物が逮捕されるなど負のイメージも強いのですが、やはり便利なものなのでしょうか?

 A:3Dプリンターは最近急速に普及している新しい技術です。ここ数年で価格も劇的に下がり、個人で買えるタイプのプリンターも出てきました。ただ、まだ一般の人が気軽に使える状況ではありません。質問者のように、拳銃も作れる「怖い道具」というイメージを持つ人もいます。なんだか、かつてのパソコンに対する距離感と似ていますね。

 そんななか、慶應義塾大学は湘南藤沢キャンパス(SFC)の図書館1階に「Fabspace(ファブスペース)」を開設しました=写真(1)。ここには3Dプリンターや3Dスキャナー、カッティングマシン、デジタル刺繍ミシン=同(2)=などが設置され、製作物も展示されています=同(3)。SFCの学生や研究者であれば利用できます。

 Fabspace設置の中心となった慶大環境情報学部の田中浩也准教授は、世界的なネットワークを持つ市民工房「FabLab」(ファブラボ)の日本における発起人でもあります。FabLabは現在、鎌倉、横浜、つくば、渋谷、大阪、仙台、大分、鳥取の8カ所にあります。いずれも、料金を支払えば誰でも3Dプリンターなどを利用できるオープンなスペースです。Fabspaceはそのキャンパス版というわけです。

 Fabspace開設発表の席で田中准教授は「3Dプリンターのある生活」について、次のように語りました。

 「私は2008年から自宅で3Dプリンターを使っており、何かが壊れたら、その部品を3Dプリンターで作って修理するという生活を送っています。また、家具や食器など、少し改良すればもっと便利に使えそうなものを改造したりもしています。使っているマグカップに合うフタも自分で作れるようになりました。おかげで100円ショップには、まったく行かなくなりました」

 壊れたものを自分で直せるというのは、サイフにも自然にもやさしいことです。こうした話を聞くと、作りたいものが即座に思い浮かぶでしょう。なくしてしまった本棚のネジ、椅子の足カバー、寝室の地震対策のつっかえ棒、上着のボタン…など、いずれも3Dプリンターで作ることが可能です。

 現代人は、物を作ることは技術や才能のある一部の人しかできないと思いがちですが、昔はみんな、破れたズボンやシャツにツギを当てていました。3Dプリンターは、衣類以外の物にもツギをあてられる道具と考えれば、身近に感じられるでしょう。

 3Dプリンターの材料は、一般的にはプラスチック樹脂や石膏粉末、金属を使いますが、田中准教授のもとで研究している学生は米の粉を利用して「食べられる食器」を試作したそうです。とてもエコな発想です。また、研究室ではリサイクルマシンを用意し、廃棄するペットボトルを原料に変える研究もしているそうです。

 その一方で、銃や著作権を侵害するようなものを手軽に作れる危険性はもちろんあります。

 慶大環境情報学部長の村井純教授は「すでにインターネット上では、コンテンツで人を傷つけたり、違法なコンテンツを共有することに規制がかかっています。基本的な考え方と、規制する方法はすでに存在しているわけです。今後、(3Dプリンター用のデータ配布など)インターネットの使い方が変わっていく中でも安全・安心を作り出していくことが大切です」と、新時代の対応を求めました。

 FabspaceやFabLabのような場所が次々に誕生するなかで、正しい使い方が確立されていくことを望みたいですね。  (松本佳代子)

 

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