三度目の正直「昔ながらの居酒屋」で勝負に

★(株)やぶやグループ・横瀬武夫社長(48)

2014.06.09


名古屋・名駅の「おとなのやぶ屋」【拡大】

 秘伝の八丁味噌ダレで豚のホルモンを七輪で焼く「やぶ屋」。うまい名古屋メシを安く食べられる、昔ながらのスタイルの居酒屋だ。

 人間関係が希薄な時代に義理人情を大切に、愛情を持って人に接する方針を貫く横瀬武夫社長は、名古屋の繁華街で生まれ育った。母が料理店、父がお好み焼き屋と、両親ともに飲食業。小学4年生から中学卒業まで新聞配達を続け、喫茶店でアルバイトしたりするうち、商売の楽しさを覚える。

 「仕事を終えたときの爽快感にハマってしまった(笑)」

 休日に家族で外食したり、バイトの給金で定食を食べたりして、自然に味覚も成長。飲食業に興味を抱き、料理専門学校へ進学した。

 だが、夕方6時から翌朝6時までバイトを掛け持ち、学校に行くべき昼間は爆睡。ほどなく中退して、父が新たに始めた焼き肉店を手伝った。しかし親子ゆえの衝突もあり、18歳で上京。焼き鳥店で2年働き、20歳で名古屋に戻り、鉄板焼き店を出してもらう。

 これがいきなり大繁盛。開店月からお客がつき、2年目には毎月、「必要経費を全部支払って、手元に100万円残ってるんです」。

 有頂天になった。ゴルフはもちろん、夜な夜な外車で豪遊。そうなると、「店はダメですよね(苦笑)」。

 慕ってくれていたスタッフが去り、常連客も遠のき、閑古鳥が鳴いた。父が言った。

 「ギブアップしなさい」

 23歳の挫折。結婚を控え天を仰いだ。トラック運転手になろうと腹をくくった。新婚旅行だけは行きたくて、600万円だった店をダメもとで1200万円で売りに出した。これが奇跡的に売れ、父の店を手伝いながら25歳でパブで再スタートした。

 だが酒量がハンパなく、またも閉店。やぶれかぶれで、勝負に出た「やぶ屋」が、やっとまっとうな店経営につながった。

 開店から20年余り、「昔ながらの居酒屋」は、庶民の胃袋を満たし笑顔の源となり続けている。「フライの一八」「すしの哲也」など、違う業態の店舗も人気。

 目下の目標年商は30億円だが、横瀬社長は「やぶ屋を始めた頃と違って、稼ぎは自分のためでなく、スタッフみんなの幸せにつなげていきたい」と話している。 (細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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