生醤油と密閉ボトル開発が市場を活性化 キッコーマン「いつでも新鮮」シリーズ

2014.06.11


キッコーマン「いつでも新鮮」シリーズ【拡大】

 2010(平成22)年9月、キッコーマン食品が発売した「いつでも新鮮」シリーズが大ヒットしている。11年度11億円、13年度45億円、今年度の目標は55億円。「10億円売ればヒットという調味料の世界で特大ホームラン」(コーポレートコミュニケーション部、伊東宏さん)だ。

 醤油は価格競争の激しいコモディティ(汎用品)化した商品。さらに家庭で料理する機会の減少、さまざまな料理に使える麺つゆ、専用調味料の登場など、環境の変化から、出荷量は、1973(昭和48)年の約129万キロリットルをピークに、13(平成25)年約80万キロリットルと減少傾向にある。

 「いつでも新鮮」シリーズの開発は、その危機感から始まった。候補に挙がったのは、加熱して微生物の働きを止める“火入れ”前の搾りたての生(なま)醤油だ。

 火入れをすると色が濃くなり、香りが強くなる。それに対し生醤油は色鮮やかでライトな味わい。「付加価値の求められる現代の嗜好に合った醤油を提供することで、コモディティ市場から抜けることができる」(同)と考えたのである。

 しかし、醤油は空気に触れると酸化が進み、色が濃くなり、風味が劣化する。従来の容器ではせっかくの特徴を維持することができない。そこで、10年以上にわたり開発を続けていた密封容器を採用した。注ぎ口に逆止弁がついており外から空気が入らない構造だ。

 これにより、醤油が空気に触れず、開封後、常温のまま保存しても90日間鮮度を保つことができるようになった。

 醤油は、蒸した大豆と炒った小麦に麹菌を加えて「醤油麹」をつくり、これに食塩水を加えた「もろみ」を約半年間、発酵・熟成させる。「もろみ」を搾ったものが生醤油で、火入れをすれば完成だ。「いつでも新鮮」シリーズは、火入れの代わりに微生物を特殊なフィルターを使い取り除いている。

 10(平成22)年、パウチの容器で発売。画期的な商品と反響も大きかった。しかし、パウチは両手を使わなければならず不便、量が少なくなると平らになり倒れやすい、などの欠点があった。すぐに容器の見直しが行われ、パウチを中に入れた二重構造のボトルが開発される。

 これまでキッコーマンの卓上醤油といえば、61(昭和36)年に発売された赤いキャップのガラス瓶が定番。だが、新しい醤油には「現代の食卓に合った“おしゃれ”なデザインが必要」(同)とデザインにもこだわった。

 一度に出る量も軽く押せば一滴ずつ、長く強く押せばまとまった量のしょうゆが出るようにと工夫が加えられた。12(平成24)年には調理にも使いやすい450ミリリットルボトルも発売し、現在は大小合わせ9商品を展開している。

 生醤油と、それを新鮮な状態に保つ容器の徹底的な工夫。これにまず小売店が「安売りしなくても売れる商品」と飛びついた。1本の醤油の特売価格が約200円とすると、「いつでも新鮮」シリーズは200ミリリットルで約200円。価値にして5倍だ。コモディティ化した醤油市場を一変させる新たな醤油が求められていたのだ。

 これにより、1600億円規模の醤油市場が活性化し出した。 (村上信夫)

 

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