借金と苦労重ねるも…イオン出店で形勢逆転

★ケンコー藤井健社長(36)

2014.06.23


本場中華の王鼎記新宿アイランドタワー店【拡大】

 昨年10月、モスフードサービスの「ちりめん亭」買収で注目されたケンコーは、中華料理「王記厨房」12店、「唐庄酒家」12店、「支那そばや」8店などを経営する新進フード企業だ。

 社長の藤井健さんは、福建省生まれ。中国残留孤児だった祖母らと12歳で渡日。横浜・本牧で家族や親戚と肩寄せ合って暮らすうち、日本で生きるためには「独立するしかない」と思い、中学時代から飲食店で資金稼ぎのバイトを始めた。10万円の給料のうち2000〜3000円だけ手元に残し、残りは全部両親に預ける徹底ぶり。

 中学卒業後は「深夜2時から新聞配達、6時に眠って昼の3時に起き、夕刊を配り、飲み屋で朝2時まで…」と仕事を掛け持ち、月40万〜50万円稼いだ。大好きなラーメンの店を出そうと、豚骨醤油と太麺で人気の「家系」ラーメン店で半年修行。婚約者もでき、23歳で神奈川・磯子の築40年の家を店舗兼住居に決めた。店は19坪、12席。「購入費約2500万円、内装に800〜1000万円。全部親が出してくれました。私は月50万円ずつ返済する予定でした」

 ところが、なんと隣にラーメン店が3日早く開店。夢中で働いた。朝11時から翌2時まで、年中無休。日になんとか8万円ほど売り上げ、月約90万円の手取りから50万円を両親に返済。しかし過労で倒れる。

 そんな時、北海道の味噌系ラーメン「むつみ屋」をテレビで知り、FC店に方針転換。2〜3年で10店舗まで増やした。「でも利益が出るのは2〜3店。借金が増え、胃潰瘍で入院(苦笑)」

 医者に背いて1週間で退院し奮闘するもうまくいかなかった。ところが、むつみ屋の縁でイオンの「当時、埼玉最大のショッピングセンターに入れてもらえました」。この店がブレークし、形勢は一気に逆転。他のイオンにも出店でき、計3店のうち2店が月商1500万〜1600万円をたたき出し、現会社の足元が固まった。藤井さんが26〜27歳の頃である。

 独立から13年。今や正社員だけで200人超、年商60億円で上場の話もあるが「するつもりはないです。自分でコントロールできる方がいい。私は自分や家族、従業員のために働いているんですから」。 (細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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