名門・ユニチカはなぜ失敗したのか 160億円債務超過

2014.06.23


金融支援を受けるユニチカ(本社・大阪市中央区)【拡大】

 繊維産業の名門、ユニチカ(大阪市中央区)が5月末、主力取引銀行に金融支援を要請した。構造改革に取り組むと2015年3月期連結業績で370億円の最終赤字になり、160億円の債務超過に陥る見通しになったのが理由だ。1964年の東京五輪で「東洋の魔女」と呼ばれた女子バレーボール選手を多数輩出し、女優の米倉涼子らをマスコットガールに起用して話題を集めた企業に何があったのか。

 「数十億円の営業利益では設備投資も少しずつしかできない。そのスピードは時代が許さない」

 金融支援の道を選んだことについて、大阪市内での会見で、安江健治社長はこう説明した。

 金融支援は、借入金を株式に振り替えてもらう方式を採用し、議決権がない代わりに優先して配当を支払う「優先株」を総額375億円分発行。このうち275億円分は三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三菱UFJ信託の3行が引き受け、3行は債権の代わりに優先株を持つ。残る100億円分は日本政策投資銀行などが出資する投資事業組合が引き受け、資金は設備投資に活用。スマートフォン(高機能携帯電話)向けの樹脂製品などを強化する考えだ。

 同時に経営責任を明確にするため安江社長が取締役相談役に退き、後任に注連(しめ)浩行取締役常務執行役員が就任する人事を発表した。

 経済産業省によると、日本の繊維産業の製品出荷額は91年の12兆8500億円をピークに減少。最近では3分の1以下に落ち込んでいる。国内需要の減少と、割安な中国製品などとの価格競争で日本の繊維各社の経営環境は悪化した。

 ライバル各社は過去に蓄積した資産を使い、新規分野での積極的な研究開発やM&A(企業の合併・買収)などで事業の多角化を進めた。

 業界最大手の東レは、自動車や航空機の構造材に使われる炭素繊維を開発。最初は釣り竿とゴルフクラブに使って売り出し、投資回収をしながら炭素繊維の性能を向上させた。東洋紡も早くから「脱繊維」を掲げて構造改革に着手。フィルムやバイオなど非繊維事業を強化した。帝人も炭素繊維事業を強化するなど同業他者は繊維以外に活路を求めてきた。

 名門のユニチカはなぜ出遅れたのか。安江社長は「成長投資が十分でなかったが、純資産が毀損しないよう営業利益の範囲内に構造改革を抑えていかなければいけない制限があった」と釈明した。

 新社長に就く注連取締役は「祖業である繊維事業はリストラの連続だった」と振り返った。繊維事業の低迷でリストラを繰り返したが、借金が多かったこともあって目先の対症療法に終始。過去の蓄積で余裕のあるうちに「脱繊維」に向けた技術開発や思い切ったM&Aに踏み切ることができなかった懐事情を打ち明けた。

 金融業界関係者は「2014年3月期の連結売上高が1626億円と聞いて、こんなに小さな会社だったのかと正直、驚いた。規模が小さいため大規模な投資もできず、抜本的な構造改革に踏み切れなかったのだろう。それでも銀行としては明治22(1889)年創業の名門企業との長い付き合いもあって見捨てることができなかった」と指摘する。

 金融支援で投資に回すことができるのは総額100億円に過ぎない。スマホ向けの樹脂製品は価格競争の激しい分野で、安定した収益を保つのは難しいとみられる。

 

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