アベノミクス変じてカブノミクス 消費増税延期が本筋

2014.06.27


実質マイナス金利と株価【拡大】

 安倍晋三内閣の新成長戦略の最大の狙いは株価の底上げである。アベノミクスは「カブ(株)ノミクス」なのか。

 なぜ株価は上がらなければならないのか。最大の理由は、アベノミクス第1の矢、「異次元金融緩和」にある。日銀は年間65兆円以上の資金を発行してインフレ率2%達成を目指している。それまでマイナスだった消費者物価上昇率は2013年6月にプラスに転じた。消費税率が8%に上がった4月には3・4%にジャンプした。

 この3月末、家計、企業合わせた現預金は1000兆円近い。大手都銀の1年定期預金金利は大口でも年0・025%である。預金金利からインフレ分を差し引いた実質金利でみると、昨年末にマイナス1・5%だったのが4月にはマイナス3・83%に一挙に拡大した。眠っている1000兆円ものカネが年間で38兆円以上も目減りする(うち家計は約30兆円)。13年度の実質国内総生産(GDP)は前年度に比べて11・7兆円増えただけだから、まるで割が合わない。

 日銀の実質マイナス金利政策はそれを見越している。合理的な家計は手元資金を取り崩す。一部は消費に回すが、多くは預金以外の金融資産、特に株式や株式を組み込んだ投資信託で運用するはず。企業のほうは設備投資や新事業への投資に回すか、あるいは株式関連に投資するはずだ。そう、マイナス金利というのは使われない民間の巨額のカネを動かし、消費や設備投資を刺激し、株価を引き上げる方向に作用する。経済理論からすれば確かにそうだろう。

 現実はどうか、グラフを見よう。株価はアベノミクスが始まると同時に上がったが、昨年12月をピークに一段落し、ことしは一進一退というところだ。GDPの6割を占める家計消費は消費税増税前の「駆け込み」を除けば、安倍内閣発足時の12年12月の水準に及ばない。

 日経新聞は盛んに増税に伴う反動減は夏以降に緩和するとの楽観論を報じているが、勤労者家計の実質賃金は前年比で2%以上減っている。フトコロ具合が心もとないのに、消費が増えるはずはないだろうに。企業の設備投資は改善傾向にあるが、輸出増が見込めない中では限度がありそうだ。

 こうみると、マイナス金利による弊害を相殺し、消費税増税に伴う可処分所得減を緩和する最後の頼みは株価である。

 株高は富裕層を中心にした消費者心理を好転させるし、世情を明るくする。昨年前半は家計消費が株高の追い風を受けた。そこで、安倍内閣は合計130兆円に迫る日本の厚生年金と国民年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に株の買い増しという「株価対策」を検討する具合なのだが、小手先すぎやしないか。

 本来は、消費税増税を延期してマイナス金利効果を妨げず、国内需要の回復を最優先するほうが、カブノミクスを前進させるはずだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

 

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