文武両道の優等生が選んだ「日本一の料理人」への道

★日本料理店「くろぎ」黒木純オーナー兼料理長(35)

2014.06.30


東大本郷キャンパス内にオープンした和菓子店「廚菓子くろぎ」【拡大】

 今、日本で一番予約が取りにくい日本料理店といわれる、東京・湯島「くろぎ」。夜の席は6カ月待ち。カウンターはさらに先まで満席という。オーナー兼料理長は、35歳の若き黒木純さん。実家は宮崎市の割烹「此(こ)のみち」。

 「父は銀座で修業し、故郷の宮崎で店を構えました。自宅を兼ねていたので、小さな頃から厨房で包丁を握る父を見て育ちました。魚をさばくことに抵抗がなかったのは、そのおかげでしょう」

 元教師の母は教育熱心で、黒木さんは幼少から英会話やピアノを習い、地元の国立附属幼稚園、小学、中学と進み、成績は常にトップクラス。空手は中学時代全国3位、水泳は県8位と「文武両道」を絵に描いたような少年だった。だが、同級生がみな有名国立大学に進学する中、黒木さんだけ「料理の道」を選んだ。

 「日本一の料理人になりたい」と心に誓い、高校卒業と同時に神奈川・葉山の日本料理店で3年間修業。そして、和食の神といわれる西健一郎氏の名店「京味」に弟子入りする。「3年ぐらいの経験では全く歯が立たなかった。レベルの違いに、素直に驚きました」

 最高の店で修行し、休日には名店を訪ね歩いた。資金捻出のために「日雇いバイト」もしながら「食の探求」を続けた。

 そして2008年、29歳で「くろぎ」の前身「湯島121」をオープンする。「当時、周囲はスナックだらけ。外国人の巣窟みたいな街でした(笑)」

 案の定、半年は閑古鳥が鳴いた。だが、師匠・西氏の「おいしいものを作れば、お客さまはどこへでも来てくださる」の言葉を信じて耐えた。「お客さまが少なくても、『うまい』とうなってくださる最高の料理とおもてなしでお迎えしました」

 踏ん張ったかいがあり、心を込めて作った料理やおもてなしの会話が人の心を捉え、口コミで広がり、半年後には状況が一変した。12年にテレビの料理対決番組「アイアンシェフ」に和の鉄人として出演したことも追い風となった。「30年分の経験を1年でできました」

 今は「10代、20代の若い人たちに、日本料理を食べてもらう機会をもっと増やしていかなければと思っています」

 第一弾として、5月14日に東京大学本郷キャンパス内に和菓子店「廚(くりや)菓子 くろぎ」をオープン。今後の動向にますます目が離せない。 (細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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