「玉海力」河邉幸夫社長 「報われること知れば頑張れる」

★「玉海力」河邉幸夫社長(48)

2014.07.28


「どすこい酒場玉海力」広尾本店【拡大】

 自らのしこ名「玉海力」を店名にしたちゃんこ酒場を、都内の広尾、銀座、武蔵小山で経営し、中国の青島や上海でも店舗展開する元関取の河邉幸夫社長。「関わるすべての人を幸せにする企業でありたい」という経営理念は、自身の半生や人柄を理屈抜きで物語っている。

 中学2年で片男波(かたおなみ)部屋に入り、前頭八枚目まで昇格したが、度重なるケガで1996年に29歳で引退。「死ぬまで力士を続けたかった」ので、広大な地にほうり出された気分だった。

 うまい物好きで飲食業を第2の人生に選ぶと、兄弟子・西海さんの店で3カ月間修業させてもらった。仕入れ、下ごしらえ、味付け、接客など、店の運営のイロハを教わるうち「人との関わりに支えられて生きてることを深く感じ、心底感謝した」という。

 同年10月、広尾で「どすこい酒場玉海力」を開店。連日大忙しだった。だが年が明け、気候が暖かくなると“ちゃんこ離れ”で、お客が1日10人しか入らない日も。何とかしなければと思案し「店の入り口で焼き鳥を焼いてみたらどうか」と思いついた。

 香ばしい香りや煙に誘われて店に目をやる人々に、焼き方が声をかけて中に誘う。このアイデアが見事に的中。その後も「塩ちゃんこ」や「冷やしちゃんこ」など、夏向けメニュー開発にも務め、年中安定した集客を確保していった。

 「頑張れば報われることを知れば、人は歯を食いしばって頑張れる」と河邉さん。力士時代も、親方の急死を乗り越えて幕内に昇進した経験があり、経営者の今は社員教育に生かしている。

 「例えば実力以上の仕事を任せたとき、初めは失敗しても、努力と工夫で成功へつなげ、充足感を味わうと、乗り越えられる壁も高くなるのです」

 河邉さんが長期留守しても店が運営でき、スタッフも連休を取れる環境にするための人材確保にも尽力している。経営方針や将来のビジョンを明確に描き、面接でじっくり話し、共に歩める人材を採用するのだ。

 「私は会社を大きくするための店舗拡大には興味がありません。成長した社員が活躍する場の拡大はやるべきと考えます。経営者を目指し独立する社員の支援ができれば最高ですし、もし会社に残る選択をしてくれるなら、新規出店して店を任せる機会を提供したい」

 飲食の世界で何かしら夢を描いている人と共に、玉海力という会社を“夢の実現の場”にしたいと胸を張る。 (細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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