「iPadを使った親子発想教育」の体験学習講義を先日、東京都北区の瀧野川女子学園で行った。同学園は、私立の中高一貫女子校だ。受講したのは小学校高学年の母娘9組と父娘1組の計10組。わが国ではアイデアの力を伸ばす授業はまだ少ないが、出席した女の子たちは予想以上に豊富なアイデアを出してくれた。
まず、「自分が将来やってみたい夢」を考えられるだけ書き出してもらった。まさにこれは、0から1を生む発想演習だ。その後、たくさん出たアイデアを1つにまとめて自分の将来ビジョンに統一する編集方法を教えた。
ある生徒のやってみたいことリストは「小説家」「宇宙旅行」「カメラマン」「美味しいもの食べ歩き」だった。それを編集した結果は、「宇宙を旅するSF物語を書き、宇宙船は自分が設計して家族全員が快適に過ごせる空間で家族全員が美味しく食事をするために極ウマの宇宙食を考える。そして宇宙を旅しながら惑星を撮影して宇宙アルバムを制作する」という“SF小説”になった。
従来の発想教育はアイデア出しまでだが、それを現実のビジネスに落とし込むには、アイデアを編集して1つのテーマにまとめあげる必要がある。これが意外に難しいのだが、子供も大人も夢中になって取り組み、脱落者は1人もいなかった。
思いのほか母親も積極的に頑張り、自分の夢を描いてみせた。父親に至っては、娘のアイデアを編集して娘の将来像を勝手に作り上げていた。
最後に、それぞれの夢物語を書いたカードを親子がお互い見せ合った。「へ〜、お母さんはそんな夢を考えていたんだ」と逆に子供から感心される母親もいた。子供たちは大人が考えもつかないアイデアを多数書き並べていたが、それらの中には小説や映画にすればヒットするのではないかと思われる面白いアイデアもあった。