人民元膨張にエール送る財務官僚 国益や国家戦略念頭にないのか (1/2ページ)

2014.09.05


貿易決済で人民元が円を圧倒する【拡大】

 3年ほど前の話だが、「米国債は安全ですか?」と聞かれたグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)は、「安全です。合衆国はいくらでも債務を支払えます。なぜならわれわれは、そうするために常にドルを刷れますから」と答えたという(金融ジャーナリスト、森岡英樹さんのコラムから)。

 お札を刷れば借金だって払えるし、石油でも何でも買えるのは通貨覇権国米国の特権である。中国はその米国を手本にして人民元の国際化を進めている。かつては「円の国際化」をさんざん議論しておきながら、何の成果も得られなかった日本とは大違いである。

 グラフを見よう。2013年、中国の対外貿易での人民元による決済額は日本のそれの円による決済額を初めて上回った。人民元は7080億ドルで前年比57%増、円は16%減である。今年は人民元決済が加速し、年前半の実績値から推計すると、円建て決済の倍近くに膨れあがる勢いだ。日中とも自国通貨建て貿易は東アジアが主であり、東アジア圏で円は人民元によって駆逐されつつある。

 人民元によるビジネス取引を増やしている国や地域は、人民元を手元に持たなければ払えず、中国との貿易にますますのめり込むようになるので、政治的立場に影響する。中国の海洋進出を東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が警戒しても、その足元では経済の対中依存が高まっており、結束して毅然(きぜん)として中国に対峙(たいじ)できるはずがない。

 習近平国家主席は米国に対抗して積極的な通貨攻勢をかけている。一つは、日米主導のアジア開発銀行に対抗する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」で、中国主導でアジア各国のインフラ建設を支援するという。もう一つは、BRICS5カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)共同出資による発展途上国向けの新開発銀行で、本部を上海に置く。新興国・途上国の外貨準備合計の約5割のシェアを持つ中国は、それを見せ金にして、人民元建てによる投融資を一挙に拡大して、ドルに挑戦する構えだ。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

毎日25分からのオンライン英会話。スカイプを使った1対1のレッスンが月5980円です。《体験無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。