プロ音楽家から学習塾経営者に 型破りな熱血指導で子供と“親直し”

2014.09.05


河原さんの熱血指導は大好評【拡大】

 若い頃の夢をあきらめきれず、例えば塾の先生が人生の後半、音楽家に挑戦する例は珍しくないだろう。しかし、逆のケースはあまりないのではないか。学習塾を全国展開するKJ・エデュケーショナルラボの河原利彦代表(52)は、元プロの作曲家だった。

 大学を出た後、光学メーカーに就職したが、「3日で嫌になり」、研修期間の1年で退職。「まともにやった仕事は、外国から来た客の通訳だけ」と笑う。その後、自宅で好きな音楽に没頭し、26歳のときに若手歌手の新曲で作曲家デビュー。少年隊や松田聖子にも楽曲を提供した。

 といっても音楽で生活するのは難しく、塾講師のアルバイトで生計を維持。芸能界の裏のいかがわしさを知るようになってからは、次第に音楽に対する意欲が薄らいでいった。転機はソウルオリンピックが開かれた1988年秋に訪れた。

 「マラソンで4位になった選手が4位もビリも一緒ですと言った。すごいショックを受けて、このとき僕は、95点は0点と同じだというモチーフで学習塾を作ろうと」と、郷里の茨城県石岡市に河原塾を設立。半年後にはかすみがうら市にも設置した。

 型にはまったことが嫌いな性格。業界のセミナーで行った講演は関係者の度肝を抜いた。

 「いまの塾は教材を売ることが中心で、教えることを忘れている。だから僕は『どんな教材でも子供たちの成績を上げることができる、教材なんか要らない』と言った」

 この講演がきっかけで弟子志願の塾経営者が殺到。河原さんの考えに共鳴した河原塾は現在、北九州、名古屋、横浜など全国に8校を数える。

 WEBやDVD授業、コーチング技術を応用した新しい指導法を開発。毎朝4時に起きて、ネットの無料塾で子供たちや親に語りかける。

 「子供がスマホを使いすぎてどうしようとか、余計なことに悩んでいる親が多い。子供と一番近いところにいるのは親ですから、“親直し”をしないといけない」

 親を対象とした本や学習書など4冊の単行本を出版。現在、5冊目を執筆中だ。

 河原塾は「生きることは勉強だ」が合言葉。河原さん自身も「自分のゴールがどこなのか、まだ見えない」という。人生もまた生涯学習の場ということなのだろう。

 ■大宮知信(おおみや・とものぶ) ノンフィクション・ライター。1948年、茨城県生まれ。中学卒業後、東京下町のネジ販売会社に集団就職。ギター流し、週刊誌編集者など二十数回の転職を繰り返し、現在に至る。政治、経済、社会問題など幅広い分野で執筆。新著「死ぬのにいくらかかるか!」(祥伝社)など著書多数。

 

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