画家に見込まれ独立「おけいすし」鈴木正志店主

★「おけいすし」鈴木正志店主(67)

2014.09.22


江戸前の本格握りを堪能できる神宮前「おけいすし」【拡大】

 旬のネタに、漬ける、〆る、煮る、炙るなど、仕事をほどこし、生きの良さだけでは味わえない究極の江戸前にぎりを堪能させてくれる、東京・神宮前の「おけいすし」。

 15席のカウンターと数席の座敷のみの、こぢんまりした店で、清潔かつ居心地がいい。1978年の開店以来、実に36年間、有名人をはじめうまい物好きが通い、人気調査などでもよくトップ3にランクインしている。

 店主の鈴木正志さんを頭に、職人の堂に入った身のこなしに見惚れてしまう。粋で無駄のない動きにつれて、すしや料理が品良く仕上がる。「カッコイイ人のしぐさをまねて繰り返すうち、自分もちょっとはできるようになったかな(笑)」とジョークで返す鈴木さん。

 宮城県出身で、高校卒業後、地元のデパート勤務を経て上京。親戚(しんせき)の叔父の店を振り出しに飲食の道に入り、縁あって新橋の高級江戸前すし「栃ノ海」へ。当時の徳間書店社長が経営する店だった。

 客筋は大物ばかりで、すしの食べ方、お酒の飲み方から、会話や支払いに至るまで「『粋』を絵に描いたようでした」という。「チップを下さるときもスマートで格好良かったですね。親方の話術も見事で、ノートに取って覚えました」

 先輩の中には同い年もいたが、「負けん気」と「好奇心」をエンジンにして頑張り抜いた。「『こんちくしょう!』の時代でした」

 その後、赤坂、日本橋、銀座の名店で、さらに修業を重ねていく。そんなとき、雑誌「婦人公論」の表紙をはじめとする美人画で知られる洋画家、高沢圭一さんに見込まれ、31歳で今の店を任される。人気店となり、画伯亡き後に買い取って独自経営となった。

 「お客さまにホッとくつろいでいただく空間を作れているかどうか。足を運んでくださる方がどんなに大物でも、そちらのお客さまに負けないほど格好良くすしをにぎり、心からおもてなしができているか。そういった気持ちをいかに持てるかを、大切にしています」

 独創的で奥行きのある味の源には、仕事への真摯(しんし)な姿勢と粋な心意気が潜んでいた。 (細見昇市)

 ■ほそみ・しょういち 1963年生まれ、京都市出身。大学卒業後、リクルートを経て93年に戦略型求人広告代理業務「キイストン」を設立。「波乱」に満ちた経営者ら2万人と会ってきた経験を生かし、人材採用コンサルタントとして活躍。当連載名もあえて「波乱万丈」とした。著書に「リクルート式 一瞬で人事担当者の心をつかむ方法」(PHP研究所)など。

 

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