消費税増税による災厄が明らかになる中、来年10月から再増税すべきかどうか、議論が本格化してきた。政権与党として増税法案を成立させた民主党の影は薄い。海江田万里代表は某新聞社の大失敗に学んで、さっさと素直に「われわれが仕掛けた増税のせいで国民を窮地に追い込みました」と陳謝して出直せばよいものを。
自民党はさすがに多様だ。増税派が多数を占める自民党内にあって、首相の経済政策「アベノミクス」の仕掛け人と目される山本幸三衆院議員が勉強会を招集して「再増税は厳しい。景気の腰折れを招くのは必至だ」と述べ、10%への引き上げは1年半先送りすべきだと論じた。山本氏は旧大蔵省(現在の財務省)に同期トップで入省した経歴の持ち主で、財務省に同調してきたのだが、豹変(ひょうへん)した。
山本氏は日銀の異次元緩和効果によって消費税増税に伴うデフレ圧力はかわせるとの見解だった。同じ財務官僚上がりの黒田東彦(はるひこ)日銀総裁は安倍晋三首相に予定通りの増税実施を勧めたのだった。結果は、山本氏の危機感を裏付ける。
あらためて、8%への増税後の日本経済がどうなっているかを、グラフで見てみよう。
円の対ドル相場、株価、鉱工業生産、家計消費の動向を、アベノミクスが事実上始まった2012年12月を100とする指数に置き換えている。株価は日経平均ではなく、グローバル指標であるドル表示のMSCI日本株価を選んだ。