【激変!相続税に備える】子供たちがもめるのは“母親の死後” 納税準備を怠って負担が重くなることも…

2014.10.15


遺産2億円を配偶者と子供2人が相続する場合のシミュレーション【拡大】

 相続争いは、2人目の親が亡くなった時のほうがもめる。最初の親の相続を一次相続、残る親の相続を二次相続という。日本人の平均寿命は男性80・21歳、女性86・61歳であり、一般的に、母親の相続が二次相続である。

 戦前は家督相続の制度により、戸主(家長)が生前に隠居し、長男が家督を継ぐのが当たり前の時代があった。このなごりが、不幸な事例を生むことがある。

 長男だったある男性は、父親の相続の数年後、母親の相続で再び弟妹ともめた。その心労が重なり、男性は母親の死去から半年で亡くなってしまった。男性は若くして家を継ぎ、両親だけでなく弟妹の面倒もみた。学費や結婚資金も出した。しかし現代は、兄弟が同等の権利をもつ時代。弟妹が財産分与を求めるのも仕方がない。

 父親の相続では、年老いた母親の前で子供たちが争うのを避けるため、とりあえず母親に財産を相続させ、争いは先送りされる。しかし、二次相続は、財産を分ける最後のチャンスだ。気遣う親もなく、子供たちは気兼ねなくもめる。

 母親に財産を相続させるのには、もうひとつ理由がある。配偶者の相続税額の軽減である。被相続人の配偶者が1億6000万円、または法定相続分相当額のどちらか多い金額までを相続する場合、配偶者には相続税がかからない。たとえば夫に100億円の遺産があり、妻が50億円を相続することになっても、妻に相続税はかからない。そこで、目先の納税を減らすため、母親に財産を相続させるのだ。

 半面、母親が財産を受け継げば、母親の相続で相続税がかかる可能性が出てくる。単純に、法定相続人の数が減るだけではない。父親の相続で、同居している母親が自宅を相続すれば、その自宅の土地評価は大幅に下がる。これを小規模宅地等の特例という。遺産から差し引ける基礎控除の範囲内に財産が収まり、多くは相続税がかからない。しかし、核家族化した日本では二次相続の際、親がひとり暮らしで、子が同居していないことが多い。子に持ち家がある場合には、先の特例は使えない。

 二次相続はもめる。そのもめ事に気を取られて、納税準備を怠る事例も多い。一次相続の際に現金を使い切ったり、売りやすい土地から処分したりするため、二次相続の納税や遺産分割に苦労するのだ。

 一方で、一次相続で配偶者の税額軽減を最大限利用しても、二次相続税が増額し、合計で税負担が重くなる場合もある。相続対策は一次相続と二次相続の税負担と遺産分割の全体像を見据えて、慎重に検討しなければならない。

 ■安食正秀(あじき・まさひで) アセット・アドバイザー代表。相続アドバイザー協議会会員。不動産コンサルタント。1963年、東京都生まれ。立教大卒。熊谷組を経て、2006年に起業。次世代への財産承継を最優先に、相続対策の企画立案、実務支援を行う。

 

注目情報(PR)

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。