【激変!相続税に備える】親の意思を明確に残す 強制力ある公正証書遺言作成で不安払拭

2014.11.05


遺産分割事件のうち認容・調停成立件数の遺産価額別一覧【拡大】

 平成25(2013)年度の司法統計によると、全国の家庭裁判所で遺産分割について争われた事件は8951件だった。これを遺産の額で分類すると、5000万円以下の事件が6721件あり、事件全体の75%を占めている。遺産から差し引ける基礎控除は最低5000万円あるので、相続税に関係ない人々が争っているのだ。私が「相続対策と相続税対策は違う」と訴える理由はここにある。

 相続対策には遺言が効果的だ。遺言は、民法に定められた法定相続割合に優先し、遺言者の自由に財産の分与を特定できるからだ。遺留分に配慮する必要はあるが、仮に侵害しても、遺言者の意思は相続人へ明確に伝えられる。特に、自宅と預貯金だけが財産であるケースは、遺言書を準備すべきである。

 遺言は、遺言の全文、日付、氏名を自書し押印する自筆証書遺言が簡単に思えるが、できれば公正証書遺言にすべきだ。公正証書遺言は、公証人役場などで2人以上の証人が立ち会い、遺言者が遺言内容を口述し、それを公証人が書面に変え、遺言者や証人が署名押印して作成する。自筆証書は無効になったり、紛失や改ざんの恐れがある。それに対して、公正証書遺言は証拠力があり、相続登記など他の相続人の実印や印鑑証明がなくても実行できる強制力もある。

 相続人は、相続人の全員が遺産分割協議に合意すれば遺言書に従う必要はない(執行人の指定がある場合は、執行人の合意が必要)。長男に多くの財産を相続させる場合、その遺言書を用意したうえで、長男が他の兄弟に財産の一部を譲歩し、遺産分割の合意をすれば、兄弟は円満に相続できる。それでも争いになるなら、長男は遺言を執行すればよい。こうした利用方法もある。

 実務では、遺言の内容について事前に家族と話し合うことを勧めている。子供は、親が何を考えているかわからず不安をもつ。弟が親と出かけたと聞き、遺言を書かせたのではないかと不安で眠れなくなる相談者もいる。反対に、正月に集まった子供たちの前で、遺言を発表する親もいる。子供たちは笑顔で、幸せな1年を過ごせるそうだ。

 また、遺言書には「付言」を勧める。付言は、なぜこのような遺言に至ったかの理由を書いたり、家族がどうあってもらいたいかといった親としての気持ちを書く。法的な効果はないが、精神的な効果は十分にある。重要なのは親の意思を子供たちに伝えることだ。遺言書はそのひとつの手段なのである。

 ■安食正秀(あじき・まさひで) アセット・アドバイザー代表。相続アドバイザー協議会会員。不動産コンサルタント。1963年、東京都生まれ。立教大卒。熊谷組を経て、2006年に起業。次世代への財産承継を最優先に、相続対策の企画立案、実務支援を行う。

 

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