【「01」発想講座】奄美大島で考える 島人文化の継承こそ「地方経済活性化」のカギ

2014.11.07


奄美育ちのガイドでカヌーチャンピオンの白畑瞬さん【拡大】

 自然と共に暮らしたい、という人は多いが、現実にはインターネットやデジタル機器と共に暮らしているわれわれ都会人にそれができるのだろうか。そこで、カヌーにテントと食料を積んでキャンプしながら、奄美群島の手つかずの秘境を旅してみた。

 外洋に出たり、危険な岩場が多いため、白畑瞬さん(30)にガイドをお願いした。白畑さんは沖縄から奄美まで先人がカヌーで渡った同じルートを台風の中、漕ぎきった生粋の島育ちで、加計呂麻(かけろま)シーカヤックマラソンで優勝5回。私の知る限り、心技体とも奄美最高のガイドである。

 彼は風の向きや雲の様子、海の状況、体力、技術などを本能的に判断し、われわれのコースとキャンプ地を選定した。

 コースは(1)嘉徳集落からカヌーで外洋を渡り、おばあさん一人が住む青久でキャンプ(2)西古見海岸で素潜りしてからキャンプ(3)野生化したヤギがいる断崖絶壁の道を登り曽津高崎灯台(4)大浜で開催された音楽フェスティバルを観賞、というもの。

 大海原を見ながら白畑さんは「4年後にここを渡って鹿児島までのルートに挑戦します。先人がそうしたように」と抱負を語った。音楽フェスは会場のカヌーで観賞。元ちとせが歌う「わだつみの木」が心にしみた。

 この秘境冒険は白畑さんのガイド無しではかなわなかった。自然と共に暮らすには、彼のような知識や経験、能力が必要なのだ。島育ちの人たちはその力を持っている。

 同行した春山恵一さん、清水健太さんも島育ちで、カヌーのチャンピオンである。彼らは空を見上げて天候を予測し、海で自在に遊び、焚き火をおこして採れたての食材でうまい料理を作り、黒糖焼酎を飲みかわしながら三線(さんしん)で島唄を歌う。夜はテントなしで星空を見ながら寝る。身体能力は高く、年齢も一回りは若く見え、いつもニコニコしている。

 「地方創生」が政治のキーワードになっているが、こうした手つかずの自然と天真爛漫な島人を最優先に大事にすることも地方経済活性化のカギなのではないだろうか。それがなくなったら誰も観光に訪れなくなるからだ。

 同行者の中で唯一の女性、松浦千春さんはイルカと泳ぐイルカスイムのフリーダイバーで、単独で世界一周をしている。世界を巡って、自然と生き物の大切さと人の温かさを実感、人類はその大切さを本気で考えないと取り返しがつかないと語っていた。

 奄美は東洋のガラパゴスと言われ、伝統工芸の大島紬やサトウキビからつくる黒糖焼酎、ウニ、マグロ、伊勢エビなどめちゃウマの食材もある。将来的に世界遺産になる可能性もある。

 現在、バニラ・エアが格安チケットサービスを始めている。最安値なら片道5500円(東京発)だ。奄美への移住相談も行っており、iターンやUターンは年々増加傾向にあるという。

 今回の奄美冒険の旅でわかったことは、手つかずの自然と地元の人たちの温かい人柄がニッポンの財産ということだ。地方創生のカギは自然保護と地元文化の継承、それができたうえでようやく観光産業に力を入れるという順序であるべきだ。 (久保田達也)

 

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