トヨタ自動車と現代自動車−。どちらも世界的な自動車メーカーであり、日本と韓国を代表する巨大製造業だ。しかし、その経営思想は天と地ほど違う。好決算を記録しながらも「販売台数は減少している」と気を引き締めるトヨタと、100万台以上に及ぶ燃費性能の過大表示で約114億円を支払うことになった現代自。トヨタを現代自が追い抜く日は永遠に来ない−。そう思わずにはいられないニュースが相次いでいる。
■最終益2兆円でも厳しい表情…
11月5日。トヨタは平成26年9月中間連結決算発表で、通期(27年3月期)業績予想を上方修正した。円安進行などを受け、最終利益を当初の減益予想から一転、2200億円多い2兆円(見込み)に引き上げると発表した。
日本の製造業が最終利益2兆円という大台に到達するのは初めて。売上高も当初予想よりも8千億円増の26兆5千億円と7年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。自動車業界の頂点に立ち、「最強の製造業」とまで称されるトヨタが叩き出した好業績だが、決算発表に出席した同社幹部に浮かれた様子はみじんも感じられない。
「為替が円安方向に進んだことが(好決算の)大きな要因。販売台数は減少している」。小平信因(のぶより)副社長は、厳しい表情でこう説明した。確かに今回の好業績は、円安の進行による「為替差益」と販売好調な「北米」頼みというやや偏った収益構造に支えられたものだ。