あるリゾートマンションのお話。都心から車で数時間ほどの景色がいい丘の上に数十年前、建てられた物件で、規模は100戸超、分譲時、大浴場と屋外プールがあるのがウリだった。
平成バブルの時期で当時、築10年以上が経過。50平方メートルくらいの住戸が3000万円から4000万円で取引されていたという。今はせいぜい100万円から200万円。この手の物件で値段が付くだけよいほうだ。
実は数年前、ほぼ値段が付かずに廃虚寸前まで追い込まれた。管理費の滞納率が5割を超えてしまっていたのだ。
管理会社は入らない、いわゆる自主管理で、滞納者への督促は管理組合が行わなければならなかった。
リゾートマンションだから、組合の理事たちはほとんどが近県に住んでいる。当然、理事会の開催もままならないから、組合の運営にも支障をきたす。とても滞納者への督促まで手が回らない。
困った理事長が、ある弁護士に相談した。
「それでは、一つ一つやっていきましょう」
まず、管理業務を引き受けてくれる管理会社を探した。幸い見つかり、滞納者に対する初期的な督促は、管理会社が担当することになった。
次に、管理組合を法人化した。法人になると訴訟を起こしやすいし、区分所有者にもなれる。
管理費を滞納している住戸への積極的な督促が行われるようになった。しかし、払ってくれない区分所有者が大半で、なかには所在不明のケースもあった。
所在が特定できる区分所有者には順次訴訟が申し立てられ、競売や公売が行われるようになった。