建築費が高騰したことで、新築マンションの供給が減少している。来年はさらに減るという予想もある。半面、中古の需要が高まっている。「新築がないのなら中古を買おう」というニーズだ。
それを反映して、東京の都心では中古の価格が上がっている。例えば、今年竣工した新築マンションが早くも中古市場で売り出されている場合、分譲時の販売価格よりも高くなっているケースを散見する。もはやバブルである。
一般人が中古を購入しようとする場合、まずはネットで物件を探す。ホームズ、ヤフー不動産、スーモなどでは多くの物件が紹介されていてとても便利だ。
買いたい物件が見つかると、仲介している業者に連絡して見学ということになる。実際に物件を見てみて、気に入れば売買契約を結ぶ。これが普通の取引だ。
しかし、ネットだけで市場に出ているすべての物件をチェックできているのだろうか。もっと自分のニーズに合った物件があったのではないか、という疑問を持ってほしい。
実は、ネットでチェックできる物件は、流通市場で売り出されている中古のすべてではない。本当にお買い得な中古は、ネットに出ることなく売買されていることが多い。
優良物件の売却を依頼された仲介業者が買い主からも仲介手数料を得ようとして、ネット媒体に出さずに買い手を見つけようとするケースだ。業界では「両手狙い」という。これはごく普通に行われている。
この場合、その仲介業者の活動範囲内で買い手を見つけることになり、ネット媒体を使って広く募集するよりも時間がかかる。また、値引き交渉は入りやすい。
こういった売り物件の囲い込みを防ぎ、売主にも買い手にも平等に情報を行き渡らせようという制度もなくはない。