「ドラギ・バズーカ」が世界の市場に響いた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、国債などを買い取って大量の資金を市中に供給する量的金融緩和策を導入するとを正式に発表。購入額が1兆1000億ユーロ(148兆円)と事前の予測を上回る規模となったことを好感して欧米株が急騰、23日午前の東京株式市場も続伸した。
日経平均株価の午前の終値は、前日終値比144円78銭高の1万7473円80銭。上げ幅は朝方に200円を超える場面もあった。終値は、前日比182円73銭高の1万7511円75銭だった。
前日の米市場でダウ工業株30種平均は、259・70ドル高の1万7813・98ドルと大幅続伸。欧州市場も上昇した。為替は対ユーロで円高が進んだが、対ドルでは1ドル=118円台で推移した。
ECBが決定した量的緩和策では、国債など毎月600億ユーロ(約8兆円)の買い取りを実施してデフレ阻止を狙う。期間は今年3月から来年9月までだが、ドラギ総裁は記者会見で「中期的目標である2%弱のインフレ率の達成が見通せるまで実施する」と強調した。
購入額は少なくとも1兆1000億ユーロと、事前に予測されていた6000億ユーロ(約82兆円)を上回ったことから、世界経済の先行きに対する懸念が後退。株式市場に資金が流入するとの期待も背景に、「市場では楽観的なムードが優勢となり買い進まれた」(アナリスト)という。
ECBへの出資比率に応じて各国の国債を購入、ドラギ総裁はユーロ圏19カ国の国債すべてが購入対象になりうるとの認識を示した。焦点だったギリシャやキプロスなど重債務国の国債買い取りも、財政健全化を継続するなどの条件付きで実施する方針だ。
ただ、25日に行われるギリシャ総選挙では、反緊縮財政を主張する野党優勢が予想されており、引き続き波乱含みだ。