世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者で来日中の仏経済学者、トマ・ピケティ氏は31日、東京都内の日本記者クラブで記者会見し、高所得者層に高い税金をかけるべきだと持論を展開した。一問一答は次の通り。
──日本は昨年4月、財政再建のため消費税を増税した
「日本の成長を促すという観点からみると、消費税増税はいい結果を生んでいない。若者に利する形の累進課税にし、若者や低所得者層の所得税を引き下げるべきだ。逆に、高所得者層の所得税や不動産税などは高くすべきだ」
──米国では格差が広がっても国内総生産(GDP)成長率は伸びている
「米国の国力が上がったのではなく、世界各地から移民を受け入れ、人口が増えているからだ。トップレベルの大学の研究もすばらしく、これらが経済成長に結びついている。日本や欧州はもっと大学に投資すべきだ。欧州各国は緊縮財政をやり過ぎた面もある」
──これほど、貧富の格差に注目が集まるのはなぜか
「高度成長期の格差はあまり問題ないが、(世界的に)低成長期なので問題視される。低所得者層の所得の伸びより高所得者層の所得の伸びの方が大きいことを皆が実感してしまうからだ。格差が広がれば、(低所得者層と高所得者層は)緊張関係になる。それぞれの国がどんな制度や仕組みを作るかで、格差を小さくできる」