【激変!相続税に備える】空き室リスク想定した計画を メリット多い「賃貸併用住宅」に落とし穴

2015.02.18


賃貸住宅における空き室の推移【拡大】

 相続税の増税が発表されてから、賃貸併用住宅を勧めるハウスメーカーが多くなった。賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅が一体化した建物である。アパートの一部が自宅である従来の建物とは異なり、自宅の一部を賃貸できるよう設計されているものが主流だ。

 賃貸併用住宅は、賃貸部分に相当する土地の評価を、貸家建付地として約2割減額できる。建物の一部も減額できるので、相続税対策になる。

 また、家賃収入で住宅ローンの返済が補えるというメリットがある。賃貸部分の面積割合が一定以下であれば、住宅ローンで全額借入ができるため、低金利によるレバレッジ効果もある。家賃で返済の全額を賄えるケースもあるので、若い世代だけでなく、定年退職が近い中高年の世代でも検討する人が増えている。

 しかし、注意すべき点もある。まず、入居者が退去したあとのリフォーム費用の負担だ。入居者には退室時に原状回復義務がある。昔は、敷金から壁紙の貼り替えなどの費用を差し引くことができた。しかし今は、入居者の故意や過失による毀損がなければ、リフォーム費用は貸主の負担だ。キッチンの交換など高額なリフォームを想定して、修繕費を計画的に積み立てることが不可欠だ。

 2点目は、入居者とのトラブルだ。騒音や清掃の問題だけでなく、鍵をなくした、蛇口が壊れたなど、同じ建物に居住するので、直接応対を求められる可能性もある。賃貸借契約書を交わすだけでなく、入居ルールの取り決めなどで管理会社の支援を受けた方がよい。

 3点目は、空き室リスクだ。日本の賃貸住宅の約2割が空き室という現実もある。一般的に、一戸建てが建設される場所は、マンションの立地に比べて交通の便が悪い。それだけ、空き室のリスクが高くなってしまう。

 昨年末、アパートの売却を希望する相談があった。建物の老朽化が原因だ。建物が古くなれば賃料は下がり、空き室も増える。しかも、収入が減った頃に大規模修繕がある。相談者は積み立て計画がなく借金をしたが、今まで以上に収支が悪化してしまった。これが賃貸併用住宅であれば、自宅まで手放すことになる。

 賃貸併用住宅は、借入金を伴う不動産賃貸事業である。計画時には、長期間の空室があっても自身の収入で住宅ローンの返済が可能かどうか、家賃をいくらまで減額しても返済に支障がないかなど、十分なシミュレーションをしてから事業化したい。

 ■安食正秀(あじき・まさひで) アセット・アドバイザー代表。相続アドバイザー協議会会員。不動産コンサルタント。1963年、東京都生まれ。立教大卒。熊谷組を経て、2006年に起業。次世代への財産承継を最優先に、相続対策の企画立案、実務支援を行う。

 

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