岩田鉄工所「伸助さん」 高齢者助ける電動伸縮杖

2015.02.24


岩田鉄工所のHPから【拡大】

 2010年、岐阜羽島市の岩田鉄工所が発売した世界初の電動伸縮杖『伸助さん』。杖のグリップについたボタンを押すだけで、ステッキの長さ調節が自由にでき、高齢者や足の不自由な人の階段歩行などが楽になる。1本2万円超と高額ながら、「ありそうでなかった」「便利!」と半年で売り上げ1億円を超え、現在も好調だ。

 岩田鉄工所は、36人の従業員で東京スカイツリーの制振装置をはじめ、精密機械加工を手がけている。元々は下請け専門だった同社が、なぜ一般向けの商品を出したのか。

 開発のきっかけは、08年9月のリーマン・ショックだった。「世界中で設備投資が止まり、仕事がなくなった。その時に知人の東大准教授から、電動伸縮式立ち上がり補助器の相談があった」(岩田勝美社長)

 2カ月後に試作品が完成したが、立てない人はそもそも下半身に力がなく補助器は全く役に立たない。しかし、そのメカニズムは評価され、これで何かできないか模索する中、「杖」というアイデアが出た。

 この間にもリーマン・ショックが進行、同社の「売り上げは25%まで落ち込んだ」(岩田社長)。消費者向け商品の売り上げ減に比べ、企業向けの機材の落ち込みは「想像を絶する激しさだった」という。そこで消費者向けである電動の杖に期待がかかった。

 丸1年かけ完成。しかし消費者に売ることについては、全くの素人集団。試行錯誤を繰り返した。当初は杖を使う人が買うと考え、高齢者の利用する「かんぽの宿」に動画をディスプレーしたが、全く反応はない。2万円という値段は杖の平均価格1万〜1万2000円をはるかに上回っており、日帰り1000円ほどで過ごせる「かんぽの宿」ユーザーには高過ぎたのだ。

 杖の形状、機能は太古の時代からほとんど変化していない。その歴史の中、全く違った発想のものをどうやって売るのか苦労を重ねた。

 新聞にもアピールを繰り返し、記事となった。それに着目したテレビ番組が取り上げ一気にブレークする。購入する大半は使用者本人ではなく子や孫、プレゼント用途だ。テレビを通じ、杖を使って階段を上下する危険性を周囲に知らせることができたからだと岩田社長は分析する。 (村上信夫)

 

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