先に閉幕した北京の全国人民代表大会(全人代)の期間中に、習近平国家主席を欣喜雀躍させる国際ニュースがロンドンから発信された。
英国が中国主導で設立準備中のアジアインフラ投資銀行(AIIB、本部北京)への参加を発表したのだ。AIIBについては、米国が同盟国に参加しないように要請してきたが、最大の盟友が入るとあっては、対米配慮から態度を保留してきた豪州、韓国仏独などもなだれを打って参加しそうだ。
AIIBの資本金は1000億ドル(約12兆円)で、うち半分を中国が受け持つが、アジアでは年間で7000億〜8000億ドル、円換算で100兆円前後の需要がある。最大の国際金融市場、ロンドンで有利な条件で資金調達できる道が開けた。
習主席の野心は「米中心の国際金融秩序への挑戦」どころではない。最終的な狙いは、「すべての道は北京につながる」と言わんばかりの人民元経済圏の構築である。習主席が昨年11月に打ち上げた新シルクロード経済圏構想は、ユーラシア大陸から欧州大陸、さらに中近東、アフリカ、東南アジア、東アジアと鉄道、通信、港湾を中心にしたネットワークで結ぶ。AIIBはその資金源となる。
国際金融市場はすでに中国に大きく取り込まれている。国際決済銀行(BIS、本部スイス・バーゼル)によると、中国の海外の銀行からの借り入れ残高は14年9月末、1兆700億ドルで、前年比2800億ドル増えた。世界全体での国際銀行融資2700億ドル増をしのぐ。英国の参加はロンドンが取り仕切る国際金融界が中国の野心の後を押し、その上がりで儲けようという強欲主義そのものだ。それは戦前、ナチスにカネを流した国際金融界の姿とダブる。



