世界的にお金が余っている。ついこの間まで、アメリカはQE3という金融緩和を行っていた。ヨーロッパも一部加盟国の財政危機で、金融を緩め気味。中国はリーマン・ショック直後から異様な金融緩和。ジャブジャブと市場にお金を流し込んだ。そのツケをこれから払わされそうな気配だ。
足元の日本では日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が2013年春の「異次元の金融緩和」に踏み切り、翌年の10月には第2弾として「黒田バズーカ2」をぶっ放してしまった。
その結果、日本の一部の不動産市場は完全にバブル化している。以前にも書いたが、私が「バブル」と捉える基準は、投資利回りが4%未満でも取引が成立している状況。3%を切れば、疑いようもないバブルだ。
現在、アジアの不動産市場の中で、比較的安定的に3%以上の投資利回りを得られるのは、ほかならぬ日本。東京の都心エリアでは、4%超の物件も少しは出まわる。
シンガポールや香港、中国の主要都市では軒並み3%未満。台北に至っては2%も切っている。ところが、これらの都市よりもブランド性が高く、なおかつ完全な所有権が得られる東京が、3%台なら魅力的に映る。
また、世界的にも低金利が蔓延。米国では0・5%未満。ヨーロッパではマイナス金利すら発生している。
つまり、余ったお金が行き場を失い、その一部が東京の不動産市場に流れ込んできている。だから価格が高騰し、この半年で投資利回りが4%を切って3%台に突入した、と観測できる。