シャープが扇風機に応用した「蝶の羽根」 研究者が生物の学会に通い

2015.04.08


蝶の生態を応用したシャープ製扇風機の羽根【拡大】

 シャープの研究者が、生物に関する学会に足しげく通っているという話を聞いたのは、いまから3年以上前のことだ。なぜ電機メーカーの研究者が、動物などの生態を研究するのか。ここ数年の同社の新製品をみると、その理由がわかる。

 たとえば、シャープの縦型洗濯機は、3年前の製品で一気に水流が上がり、洗浄力が15%も高まった。新たな高機能モーターを採用して実現したものではなく、水を回転させるために洗濯機の底面に設置されているパルセータ(羽根)の形状を大幅に変更したことが理由だった。

 イルカの高速遊泳時に表面にできるシワや、尾びれの三日月形に着目し、その形状をパルセータの表面と裏面に施したことで強い水流を実現したという。ほかにもイヌワシ、トンボ、ネコなどが持つ固有の特徴を生かした工夫が数々のシャープの家電に生かされている。

 4月に発売されるプラズマクラスター扇風機も同様だ。背の高い「ハイポジション・リビングファン」では、数百キロメートルを飛行するアサギマダラ蝶の羽根形状を応用することで「くびれ」と「うねり」を持った羽根を開発。ムラが少なく、なめらかな心地いい風を作ることに成功した。

 「くびれとうねりを持った7枚の羽根は、回転させると、羽根が前後に分かれて回転しているように見える。前7枚、後ろ7枚という14枚相当の羽根で風を送り出すことで、心地いい風を作ることができた」(同社健康・環境システム事業本部プラズマクラスター機器事業部・冨田昌志副事業部長)

 通常製品の風に比べて手足の冷えすぎを抑えていることもサーモグラフィーを使った体表面温度変化測定でわかったといい、健康面にも配慮した風になっている。

 市場想定価格は、高温などを知らせるみはり機能を搭載した上位モデルが2万7800円前後、標準モデルが2万4800円前後だ。

 小型軽量で持ち運びが可能な「3Dファン」はアホウドリの翼をもとに羽根を開発。細くて鋭い羽根形状で直進性の高い風を作ることに成功した。自由自在に首が動く3Dターンとの組み合わせで部屋の空気を効率よく循環。エアコンと併用することで偏りやすい空気を広げ、節電ニーズにも応えられるという。

 シャープでは蝶や鳥の羽根の形状を応用した羽根を「ネイチャーウイング」と呼び、今後も同社の扇風機には継続的に搭載する考えを示す。

 日本初の電気扇風機が誕生したのは1894年と約120年も前のこと。しかし、まだまだ進化を続けている。 (ジャーナリスト)

 ■大河原克行(おおかわら・かつゆき) 1965年東京都生まれ。「週刊BCN」編集長を経て独立。25年以上IT・家電業界を取材する。著書に『松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略』(アスキー新書)など。

 

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