今回は、未来の技術から発想する方法を紹介する。
まずは、「(1)時代の変化を読む」。数年前、クラウドが一部の人の間で話題になっていたころ、いち早くこれに目を付けた人たちは、各分野で成功を収めた。時代の変化を読んだからだ。
そのクラウドはいまや社会的インフラとなった。次はAI(人工知能)の時代がやってくるはずだ。
そこで、「(2)未来の科学技術を調べる」ことが重要になってくる。米国の人工知能研究の第一人者で、グーグル技術部門責任者のレイ・カーツワイル氏は、人間を超える人工知能が完成するのは2045年と予測している。これをシンギュラリティー(技術的特異点)という。
CPUの進歩を予測した「ムーアの法則」では、コンピューターの演算性能は18−24カ月で2倍に上昇するとされる。そのスピードから計算すると、たしかに人間の脳を上回るコンピューターが完成するのは45年ごろと考えられる。
実際、南カリフォルニア大学のセオドア・バーガー氏は、脳内で記憶をつかさどる海馬の一部を人工記憶装置BCI(ブレーン・マシン・インターフェース)に記録するシステムを開発しており、すでにマウスやサルの実験では成功しているという。
こうなると気になるのが、われわれの仕事が人工知能に取って代わられるという懸念である。
すでに、その兆しは出始めている。米シティ・グループと三井住友銀行は、IBMの人工知能「Watson」を応対業務に導入した。人工知能を搭載し、自動操縦で走るベンツがサンフランシスコの街中を走行したニュースも報じられた。
そうした「(3)兆し情報から未来を推測する」ことが、ますます重要になってくる。
人工知能が現在のパソコンと同じレベルで普及すると仕事が変わる。受付や経理などのルーチンワークは人工知能に奪われる。スマホ並みに普及すると、スケジュール管理や伝票処理、連絡、相談といった秘書&パートナー業務も人工知能が代わってくれるだろう。翻訳や編集、問題解決といった知的業務までこなしてしまうかもしれない。