「IoT(Internet of Things)」は、「モノのインターネット」と呼ばれ、いま注目のデジタル用語だ。超小型のセンサー付きデジタル機器を生活用品をはじめとするさまざまなモノに装着してデータを収集し、その情報を人間が参考にするのに使う。わかりやすい例は、センサーを歯ブラシに装着してデータを計測し、磨けていない歯をスマートフォンに通知・表示するといったことなどだ。
先日見たNHKスペシャル「ネクストワールド 私たちの未来」によると、IoTは毎年17%の普及率で、将来的には250兆個、700兆円の市場になるという。こうした先端技術で、新たな市場が生まれる可能性があるのだ。
そんななか、ソニーから「スマートセンサー」というテニスのフォームチェックをしてくれるIoT機器が発売されたので試用してみた。
対応するラケットのグリップエンドにスマートセンサーを組み込み、プレーしたデータをブルートゥース通信でスマホに飛ばし、専用アプリでグラフ表示する。「遊び」から生まれた新しい商品で、ゴルフ用もある。
装着してプレーしてみると、練習のときには「ラケットの芯に正確に当たっていない」ということもあったが、スイングスピードはかなり出ており、好結果に内心ほくそ笑んだ。だが、実際の試合で使ってみたら練習とは裏腹。ひどい結果を突きつけられた。
練習と違い、試合では打ち返せないところに飛んでくるボールを走りながら打つため、芯にはなかなか当たらない。勝とうとして力ずくで打つとボールを打つ位置がずれる。打球の速度、回転、方向も、全然コントロールできず、自尊心がずたずたにされてしまった。
スマートセンサーでは、プレーの様子をスマホで動画撮影してショットごとの分析もできる。この結果をテニスのコーチにメールでチェックしてもらったところ、「いつも教えていることができていない」と言われた。その後、「君の特性は○○だから、本番では××しろ」と適切なアドバイスをもらえたのは目からウロコだった。これは、ツールを使いながら解決策を考えていく「現場発想」だ。