台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下入りすると決めたばかりのシャープだが、なおも混乱が続いている。総額3500億円規模の「偶発債務」が問題視され、鴻海側から契約延期を通告されたのだ。独裁批判もある郭台銘(英語名テリー・ゴウ)会長の揺さぶりともみられ、事態はなお波乱含みだ。
ダウ・ジョーンズ通信は、シャープが24日、いまは表面化していなくても将来負債となる可能性のある100項目の「偶発債務」リストを鴻海側に提示したと報じた。
太陽光発電に関連した事業などが含まれ、総額3500億円規模に上る。2015年3月期の有価証券報告書によると、ソーラーパネルの原材料の長期購入契約を結び、転売できないため387億円の損失発生リスクがあるほか、太陽電池生産に使う電気供給に関しても途中解約できないとして439億円の損失が発生する恐れがあるとしている。
鴻海側もシャープから24日に新たな文書を受け取ったと公表。25日のシャープの取締役会前の時点で「(シャープが内容を明白にし)双方が合意に至るまで調印をしばらく先延ばしにする」と同社に返答したという。
鴻海は12年にもシャープに10%出資する資本業務提携を結びながら、株価が急落すると白紙に戻した前科もある。