毎月分配型投信の不適切販売 訴訟ラッシュの可能性も

2014.05.22

連載:経済快説


投信訴訟で注目の判決が出た東京地裁【拡大】

 2カ月ほど前になるが、本年3月11日、東京地裁は毎月分配型投資信託に関わる注目すべき判決を出した。2010年の4月に豪州の公社債に投資し分配金を毎月払うタイプの投資信託を購入した当時79歳の男性が、後になって、この投信の分配金が、元本の取り崩しを原資とする特別分配金を含むことを知って驚いて解約し、137万円の損失が発生した事案に対する判決だ。

 地裁は、販売時の説明と情報提供に不備があったと判断し、販売会社である銀行と、販売用の説明資料(目論見書等)を作成した投資信託会社に対して、男性の損失額の半額の賠償を命じた。

 毎月分配型投信は、今もこの男性のような高齢者などに対して、分配金が大きいことと、その実績が安定していることを強調して売られている。

 しかし「安定した分配実績」の中には元本取り崩しを含む特別分配金が含まれているし、投信の一口あたりの基準価額は為替変動等を反映して大きく変動する場合が多い。顧客側では、商品の中身やリスクを十分理解せず、売り手側にとって都合のいい部分の説明のみを印象づけられて「安定した運用の商品だ」と誤解して購入しているケースが少なくないようだ。

 本件のポイントの一つは、10年11月に金融庁が公表した監督方針を反映させたもの以前の目論見書を使って販売されたケースである点だ。

 当時の目論見書では、特別分配金が元本の一部払い戻しに相当することが、記載されてはいた。だが、小項目の中に目立たず記載されていたに過ぎず、分配金の水準がファンドの収益の実績を示すものではない点については触れられていなかった。

 このような目論見書が交付されていたとしても、説明義務が十分果たされたとはいえない、と地裁は判断した。

 ただし、特別分配金に関する記述の見落としを原告の過失として5割の過失相殺が認定された。

 目論見書の小さな記載でも見落とすと過失なのであるから、投資に油断は禁物だ。チェックが甘くなりがちな高齢者は特に気をつけたい。

 注目点は、本判決が確定すれば(銀行と投信会社は控訴した)、類似のケースで軒並み損害賠償訴訟が起こる可能性があることだ。具体的には、10年11月17日以前に毎月分配型投信を買って、その後に損をした投資家が全て原告になる可能性がある。

 金融業界側では、消費者金融の金利の過払い訴訟のような事態を恐れる声がある。投資家側から見ると、過去の毎月分配型投信の損失の一部を取り返すことができる可能性を意味する。裁判の今後に注目したい。

 なお、毎月分配型投信は、仕組み上も商品としても損だ。今後も、全て、一切買うべきではない。 (経済評論家・山崎元)

 

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