東証などを運営する日本取引所グループは2017年度中、売買審査に人工知能(AI)を導入し、相場操縦など違法行為の検知効率を引き上げる。東証は「グレーなものはシロと言い切れるまで調べ上げる」としている。AI導入でコンピューター売買業者の不正も暴けるかどうか。
東証などは現在も売買成立の意図がない注文を出す「見せ玉」や取引終了間際の大量注文で株価を動かす「引け値操作」などを監視している。AIは1日最大1億件もの膨大な量の注文を分別し、グレーと分類された取引はシロかクロかはっきりするまで売買担当者が徹底的に調べ上げるという。
売買審査でクロと判定され、相場操縦で摘発されるのは年に数十件程度。大多数のケースでは、証券会社を通じて顧客に警告し、不正行為を止めさせている。市場関係者は「コンピューターを駆使する欧米のHFT(高頻度取引)業者を摘発できるかが見ものだ」と話す。HFTは注文取り消しが多く、相場操縦の噂が絶えない。一方、売買高が多く、東証の上得意客でもある。
【2017年3月3日発行紙面から】