積み立てNISA(少額投資非課税制度)が来年1月から始まる。現行NISAのスタート前は、証券会社と銀行の集客戦が過熱したが、今回は静かだ。宣伝費用を投じて開設した現行NISA口座の稼働率が低いことに加え、金融庁の森信親長官が講演で、積み立てNISAにふさわしい投信が少ないなどと苦言を呈したためだ。
積み立てNISAは非課税投資枠が年40万円(現行NISA120万円)、非課税運用期間が5年(現行20年)。最大で800万円の元本が生む利益が無税になり、長期投資が優遇される。
長期投資といえば投信業界の金看板だが、森氏が7日に日本証券アナリスト協会で講演し、日本で売られている公募型株式投信5406本を調べたところ、「積み立てNISAの対象として残ったのは50本弱だった」と述べた。その後も森長官の口から、運用成績の低さや手数料の高さなどが次々と指摘され、「みなさんはこうした状況をいつまでお続けになるつもりですか」との問いかけも。
積み立てNISAの対象は投信だけ。適格商品の用意が急務だ。
【2017年4月19日発行紙面から】