証券会社の職員は他社口座での株取引が原則禁じられているが、早ければ年内にも自由化される。ルール改正後は自社を避けて手数料の安いネット証券に口座を開く証券マンが続出するのか。
証券マンが他社に売買注文を出すことは「地場出し」と呼ばれる。日本証券業協会の内規では、勤務先の許可がない限り禁止だ。
規制ができたのは昭和30年代。手数料が全社同額の当時、他社で取引するメリットは乏しかった。あえて他社を使う証券マンは顧客の株券を勝手に換金するなど犯罪を疑われた。近年、インサイダー取引防止も規制の目的に加わった。
しかし、株式が紙の券面から電子データに置き換わり、横領はほぼ不可能になった。手数料は完全自由化される一方、インサイダー取引など不正の摘発ルールも整い、証券マンをあえて自社口座に縛り付ける理由はなくなった。
ただ、現場の営業マンに聞くと、他社での口座開設ラッシュにはならなさそうだ。投信や外債を自腹で買ってノルマを消化するには、自社口座でなければ意味がないからだという。
【2017年5月22日発行紙面から】