今年1番の話題文庫は三島由紀夫のエンタメ小説!?文庫トレンドに異変 文豪作品が突然の大ブレイク、1ヶ月で7万部重版

2015.08.06


命売ります 書影【拡大】

株式会社筑摩書房(所在地:東京都台東区、代表取締役社長:山野浩一)は1998年に刊行した三島由紀夫『命売ります』(ちくま文庫)が売上好調につき、2015年7月に7万部を重版しました。
2015年8月6日現在、累計で11万1,200部(20刷)を発行しており、半数以上をこの7月に発行したこととなります。

<命売ります 書影>
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往年の文豪の隠れた怪作小説が、いまを時めく現代作家作品に分け入って、突如として各書店の文庫ランキングに登場しつつあります。紀伊國屋書店新宿本店では文庫週間ランキング1位(7月27日〜8月2日)、丸善丸の内本店でも1位(7月23日〜7月29日)となりました。映画化・ドラマ化されるでもなく、三島由紀夫の名前が2015年の文庫ランキングに並ぶということは「事件」といってよく、その驚きの声が広がるかたちで、全国の書店へと売り上げが波及しています。

この突然のヒットの背景には、“文豪作品再評価”という文庫の新トレンドの兆しがあるようです。「今まで敷居が高く感じられていた文豪の作品も、買いやすい文庫でなら、と軽い気持ちでチャレンジしてみたら、想像以上に面白くて驚いた」「ちょっと古くさく感じる表現も、なぜか新鮮でお洒落」こんな声がSNS上にも日々あがってきています。

■今年1番の話題文庫に!?:ブレイクまでの経緯
今年は三島由紀夫の生誕90年にあたり、三島作品を集めたコーナーを設けた書店から、なぜか『命売ります』がよく売れているという声がちらちらと耳に入ってきていました。

『命売ります』は『仮面の告白』『潮騒』『金閣寺』といった三島の代表作に比べるとほとんど知名度がない、知る人ぞ知るという作品ですが、だからこそ逆に「この機に手にとってみたい」という要素になっているのでは?そう考えた文庫営業担当者が「隠れた怪作小説 発見!」という“発掘小説”色を全面に出したキャッチコピーのもと、社内印刷による手作り帯を簡易的に作成しました。この帯を1枚1枚切っては本に巻き、一部の書店でテスト展開してみたところ、予想をはるかに上回る反応が即座に現れ、売り切れ店が続出する事態に。

<命売ります POP>
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『命売ります』が売れ始めた2015年7月3日での重版は2,000部でしたが、書店売上が急上昇し、読者からの問い合わせも殺到したため、結局7月だけで7万部の重版を出すことになりました。

■一周して新しい? 文豪作品再評価の波
三島由紀夫作品のブレイクといえば、近年では『三島由紀夫レター教室』(ちくま文庫)が思い浮かぶかもしれません。これは歌手の小沢健二さんが愛読しているということで、ファンを中心に一気に人気が広がりました。

しかし今回の『命売ります』のヒットの背景は、その時とはあきらかに違うようです。POSデータを分析したところ、30〜50代の女性を担い手として、今までとは違った価値観で「文豪作品」文庫を再評価する新たなトレンドが、草の根からじわじわと押し寄せてきていることが見えてきました。

実は、いま売れている文豪作品は『命売ります』だけではありません。たとえば、昭和の流行作家だった獅子文六。ある一定の年代にとっては身近で懐かしい名前ですが、近年では新刊書店でその作品を簡単に手にすることの出来ない作家のひとりとなっていました。

彼の書いた『コーヒーと恋愛』(ちくま文庫。原題は『可否道』)は約50年前に書かれた小説です。代表作とはいわれてこなかったこの小説も、2013年4月の復刊文庫化とともに話題を集め、現在13刷累計5万7,000部に。読者からの要望にも後押しされるかたちで刊行した同作家の『七時間半』も、勢いそのままにやはり反響を集めています。

近頃芥川賞を受賞された又吉直樹さんが、太宰治はじめ、文豪とよばれる作家の魅力を積極的に発信されていることの影響もあるのかもしれません。学校で教わった文学的な評価をいったん忘れて、いまの時代の感性で読んだらとびっきり面白い、自分だけの「隠れた名作」を再発見したい、という文庫に対する読者の要望は高まりつつあります。『命売ります』はそのさきがけとして、新たな文庫ブームの幕開けを告げるものになるのではないでしょうか。

■『命売ります』内容紹介
目覚めたのは病院だった、まだ生きていた。必要とも思えない命、これを売ろうと新聞広告に出したところ…。危険な目にあううちに、ふいに恐怖の念におそわれた。死にたくない−。三島の考える命とは。

『命売ります』は1968年(昭和43年)、『週刊プレイボーイ』に連載された長編小説です。物語は自殺に失敗した男が「命売ります」と新聞広告を出すところから始まり、それを利用しようとする人間が次々に現れては騒動を起こしていきます。

従来の三島作品のイメージを覆すような軽いタッチとスリリングな展開に引き込まれ一気読みしてしまう、極上のエンタメ小説です。特に、心変わりしていく男の心理描写や痛烈な皮肉(=オチ)は、さすが三島、と言いたくなる完成度を誇っています。さらに、三島本人がこの2年後に自ら死を選んでいるということを考えて読むと、より一層の奥行きをもった読後感が体験できるかもしれません。

■『命売ります』ちくま文庫
刊行日  :1998年2月
ページ数 :272
定価   :本体680円+税
ISBN   :9784480033727
解説   :種村季弘
カバー装画:山本容子

 

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