ナッツの殻から機能性材料の開発に成功〜植物由来の環境調和型グリーンプラスチックを開発〜

2017.06.07

図1
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国立大学法人東京農工大学大学院工学研究院応用化学部門の兼橋真二(かねはししんじ)特任助教と大学院生物システム応用科学府の荻野賢司(おぎのけんじ)教授、明治大学 宮腰哲雄(みやこしてつお)名誉教授は、食用とならず、その多くが廃棄物処分となるカシューナッツの殻より得られる天然植物油(カシューオイル)から、環境や人体に有害なホルムアルデヒドなどの化合物を使用せずに、室温で成形可能なグリーンプラスチックを開発しました。この材料はフィルムや樹脂への成形性に優れ、耐熱性、酸・アルカリ・有機溶媒に対する耐薬品性、さらには大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌特性も有しており、フィルムや樹脂としてパッケージングやコーティング材料をはじめ、自動車部材から電子材料部材まで幅広い材料分野への応用展開に期待できます。


本研究成果は、2017年5月30日に、高分子学会広報委員会パブリシティ賞を受賞し、
幕張メッセで開催された第66回 高分子学会年次大会(5月29日-31日付)内で発表されました。


現状:
昨今の環境問題である地球温暖化や化石燃料の枯渇の懸念から、地球環境に低負荷な持続可能社会の構築が求められています。特に、有限な化石資源に依存しない地球環境にやさしいカーボンニュートラル(注1)な非可食バイオマス(再生可能資源)の有効利用が大きく期待されています。

研究成果:
本研究ではこの非可食ポリフェノールであるカシューオイル(注2)に着目し、エポキシ化、熱による自動酸化重合を用いたプレポリマー化、アミン化合物との架橋反応あるいは紫外線照射により、室温で成形可能なグリーンプラスチック(バイオベースポリマー)を開発しました。開発したポリマーは、300°C付近まで熱的に安定であり、酸・アルカリ・有機溶媒に対する化学的耐久性に優れるものでした。さらに天然ポリフェノールを反映した黄色ブドウ球菌や大腸菌に対する抗菌特性を有することも明らかになりました。

今後の展開:
今回開発したグリーンプラスチックは、環境や人体に有害なホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)、重金属、強酸等の化合物を使用せずに、室温下で容易にフィルムや樹脂への成形加工ができることから、パッケージング材料やコーティング材料をはじめ、自動車部材から電子材料部材まで幅広い材料分野への応用展開が可能であり、非可食ポリフェノールの有効利用方法として大いに期待できます。

〈用語の解説〉
注1)カーボンニュートラル:
植物の燃焼・分解で発生するカーボン量と植物の成長過程で消費されるカーボン量が等しくなるようなカーボン循環量が中立であることを指す持続可能社会の実現において重要な概念。


注2)カシューオイル:
カシューナッツの殻に含まれる天然の植物油(カシューナットシェルリキッド; CNSL)である。カルダノールを主成分とし、カルドールや2-メチルカルドールを含むフェノール性化合物の混合物である。工業的にはフェノール樹脂や塗料、自動車用部材の原料として利用されている。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/130364/img_130364_1.jpg
図1 非食用植物バイオマスからの機能性グリーンプラスチックを開発。環境や人体に有害な化合物を使わずに、容易にフィルムや樹脂への成形加工が可能。パッケージングやコーティング材料をはじめ、自動車部材から電子材料部材まで幅広い材料分野への応用展開が可能な環境調和型のグリーンプラスチックである。

 
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