【みるほどにハマる北野映画の神髄】あわや、お蔵入り!?“押尾学事件” 「アウトレイジ」第1作から話題満載だった

よくぞ、ここまでそろえたものだ

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 北野武監督の話題の最新作「アウトレイジ 最終章」が10月7日に公開される。狂乱のシリーズ最終作の公開を前に、“北野映画”の神髄に触れておきたい。

 キャッチコピーが「全員悪人」「下剋上、生き残りゲーム」とあるように残酷シーンが続々。さすがに子供にはオススメできないが、これまでの映画にはなかった爽快感が評判を呼んで7・5億円もの興行収入を叩きだしている。

 人気シリーズ第1作。拷問シーンなどがきついとして、R-15指定にされたが、これで以後の路線が決定することとなった。ただし国内に先行してカンヌ国際映画祭に出品されたものの、フランスの批評家たちからは酷評を受けた。

 その人気の秘密は、評判となったバイオレンスシーンのリアルさにあるだろう。なにしろ監督は「面白半分に、いろいろな殺し方を考えた」といっているくらいだ。

 歯科医で医療器具を使う、ペンチで指をちぎる、サウナで容赦なく射殺する、手りゅう弾で爆殺する、といった具合。実際に可能なやり方であれば即採用となった。監督は、ひょっとして「ドS」かもしれない。

 この映画には、当時新聞ネタにもなったいわゆる“押尾学事件”というものがある。英語ペラペラの金庫番でインテリヤクザを自称する大友組組員の石原に誰をキャスティングするか、ということになり、最初は押尾学の名前が挙がった。ところが彼ではキャラが合わないと考え、一見ヤクザには見えないという理由から急きょ加瀬亮に決まったのだ。

 後日、監督は「もし押尾君にしていたら映画はお蔵入りになって、他の出演者への賠償金で大変なことになっていただろう」と冗談交じりに語っている。この発言がスポーツ新聞などで報道されたのだ。

 濡れ場もいわく付きだ。台本では大友組の若頭・水野(椎名桔平)と情婦(渡辺奈緒子)とのベッドシーンは予定されていなかった。だが渡辺の背中にペインティングされた彫り物があまりに立派だったため、監督が感心。「もったいない」と急きょベッドシーンを設定してイレズミが映るようにしたという。

 さらには、このたけしの右腕役だった椎名を、どういう殺し方をしたらカッコいいだろうと頭を痛めたという。これも北野美学といえるだろう。(望月苑巳) 

 ■アウトレイジ

 2010年6月公開、興行収入7・5億円

 〈あらすじ〉暴力団山王会の組長(北村総一朗)は傘下の池元組と独立組織村瀬組の仲がいいのを不快に思っている。仲たがいさせようと池元組長(國村準)をそそのかすが、嫌がる池元は武闘派の大友組組長(ビートたけし)に押しつける。大友は命令通り村瀬組を解散にまで追い込むが…。