【玉ちゃんの酔滸伝】RHYMESTERの「梯子酒」ビデオ撮影で梯子酒 映っている人間全員が酔っ払い

玉袋筋太郎

 「ここはどこだぁ? オレは誰だっけ?」と深酒ですっかり蕩けた脳内を再起動すると、口の中からのどの奥まで乾ききった状態。ベロは昨夜の〆のとんこつラーメンの脂とタバコのヤニでニチャニチャして舌苔がベッタリ…。「う~ん気持ち悪いぃ~、頭痛ぇ~」

 これは昨夜の梯子(はしご)酒の代償です。1軒目で帰ればよかったのに2軒目、3軒目と流れてしまった夜と仲間を恨んでも恨みきれません。

 こんな日々の後悔をラップにして公開したのがお友達のヒップホップグループ「RHYMESTER」のニューアルバム「ダンサンブル」に収録されている、ズバリ「梯子酒」です。

 メンバーの宇多丸さんと私は「部活」と称して夜ごと酒坏を重ねており、宇多丸さんはそんなだらしがない酒飲みをイメージして、この名曲を紡ぎ出したそうです。

 その「梯子酒」のプロモーションビデオを、東京・赤坂にある私のお店「スナック玉ちゃん」で撮影させてもらいたいというオファーをRHYMESTER側からいただきました。こちらに断る理由はありませんので快諾しました。

 リクエストは普段通りに営業しているお店でお客さんと一緒に盛り上がってる場での撮影です。当日来店のお客さまには「本日、プロモの撮影が入ります。作品に顔が映ってしまうこともあるかもしれませんがよろしいでしょうか?」と事前に承諾を得ます。コチラの心配を他所にお客さまの誰しもがOKしてくれました。そりゃそうです。「スナック玉ちゃん」のお客さまも梯子酒で来店しているのですから、言ってみれば同好の士、悪く言えば共犯者なのです。

 撮影当日、夜の11時にRHYMESTERのメンバーのMummy-Dさん、DJ JINさん、そして宇多丸さんのフルメンバーと撮影クルーが到着。この作品の演出法は「ただスナックで飲んでいるRHYMESTERの普段の姿を映したい」ですから、酒は入りますが力は入っていません。ビールから始まり、ハイボール、ウーロンハイ、ドン・ペリニヨンまで登場し、「梯子酒」の歌詞の通りに酒を飲み、最後はお客さんとRHYMESTER、全員で大合唱しました。

 私は内心『本当にこれで作品となるの?』と不安でしたが、アップされた作品(ぜひYouTubeで鑑賞してください)を見て安心しました。当たり前ですが映っている人間全員が酔っ払っているのです。なんでしょうこの作品全体にあふれる安堵(あんど)感と幸福感。宇多丸さんは言っています。「人生で一番幸せな時間、それはハシゴしているときだ!」と。

 この撮影が終了したあとも、曲のとおりに宇多丸さんと梯子酒になりました。私は2軒目で帰宅したのですが、残った宇多丸さんとスナック玉ちゃんのママはその後も梯子酒。梯子を降ろしたときは翌朝の9時だったそうです。

 ♪嗚呼…梯子酒~梯子酒~少しじゃないのが梯子酒~♪

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 ■玉袋筋太郎(たまぶくろ・すじたろう) お笑い芸人。1967年6月22日生まれ。東京都新宿区出身。86年にビートたけしに弟子入り。TBSラジオ「たまむすび」(金曜)、TOKYO MX「バラいろダンディ」(水曜)にレギュラー出演中。2013年から一般社団法人全日本スナック連盟会長。著書に「スナックあるある この素晴らしき魑魅魍魎の世界」(講談社)など。新刊「スナックの歩き方」(イースト新書)が発売中。

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