記事詳細

「本物は疎まれる」芸術家の宿命映像化 共産主義体制への告発、アンジェイ・ワイダ遺作「残像」 (1/2ページ)

★大人のエンタメ

 『灰とダイヤモンド』(1958年)など映画史に残る名作で知られるポーランド映画界の巨匠、アンジェイ・ワイダ監督の遺作が現在公開中の『残像』だ。

 最晩年になって『カティンの森』(2007年)、『ワレサ連帯の男』(13年)とソ連や自国の共産主義体制への鋭い告発作品を立て続けに製作し、初期のテーマに回帰した同監督の遺言ともいえるだろう。

 映画はシャガールらと親交を持ち、教育者としても影響力のあった画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)の晩年4年間をドラマ化。

 第2次大戦後、ソ連圏に組み込まれたポーランド政府は、芸術を政治利用しようとする社会主義リアリズムにストゥシェミンスキが真っ向から反対したことから、その名声や仕事を奪っていく。

 ポーランド政府の差し向けた暴漢たちが、公に展示してある絵画を徹底的に破壊するくだりは、共産主義者の相も変わらぬ謀略的手法にあ然とさせられる。だが、映画に描写された芸術家に対する同勢力の弾圧政策は、けっして過去の出来事ではない。

 かつてのソ連圏と同じ共産党が支配する中国政府は、ノーベル平和賞を受賞した著作家、劉暁波を今でも監獄に閉じ込めたままだ。ノーベル賞受賞者にこのような仕打ちをしている国は世界広しといえども他にない。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう

関連ニュース