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【知って得する名画トリビア】上映できる映画館なかった自主製作映画「泥の河」 幸運恵まれ全国公開、日本アカデミー賞の最優秀監督賞へ (1/2ページ)

★邦画編(2)

 〈あらすじ〉

 昭和30年代の大阪。信雄の両親は安治川の河口でうどん屋を営んでいた。実は信雄の父、晋平(田村高廣)は妻の貞子(藤田弓子)に内緒で別に家庭を持っている。晋平は信雄に喜一とその姉、銀子が住む舟には近づくなと言い渡す。実は喜一と銀子の母、笙子(加賀まりこ)は売春をして生計を立てているのだった。

 1981年自主製作、監督=小栗康平。

 当時、売れっ子だった加賀は、多忙で時間が取れなかったため、やむをえず東宝の撮影所内に川のセットを作り、舟を運び入れて、たった6時間で出演の全シーンを撮影し終えたという。まさに神業。

 しかしこの映画は最初、小栗監督の自主映画として撮ったため、完成しても上映する映画館がなかった。先輩でもある大林宣彦監督に相談したところ、東京・草月会館で有料の試写会を開くことができた。

 この試写会をたまたま見に来ていた東映の岡田茂社長(当時)が、「いい映画じゃないか」と感激。買い上げてくれることになり、全国公開されるという幸運に恵まれた。このことがなければ日の目を見ることがなかったかもしれないのだ。

 運も実力の内というが、小栗監督は強運の持ち主といえるかも。これが監督デビュー作というからなおさら驚きだ。

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