記事詳細

【没後10年 阿久悠】死の前日、手を握り「ありがとう」 残された多くの言葉で今も父と対話 (1/2ページ)

★其ノ五

 昭和を代表する作詞家、阿久悠さんは2007年8月1日、多くの言葉を残して、この世を去った。長男で音楽家の深田太郎氏(52)の心にはどのような言葉が残っているのだろうか。

 「死ぬ1日前だったと思うのですが、枕元にいた僕の手を握って『ありがとう』と。声は聞こえませんでしたが、そう唇を動かしていたんです。その夜明けでしたね、亡くなったのは」

 父はもうこの世にいない。しかし、そんな父と今も対話できるという。

 「これだけ多くの言葉を残してくれたことは感謝です。何かあるとき、父の本を開けば、言葉に出会うことができる。子育てに悩んだときは、『親になる前に、大人になれ』という言葉が目に飛び込んできたんです。強烈でした」

 そこには家族しか感じ得ない思いもある。

 「父の書いた歌って、みんなのものっていうイメージなんです。みんながそれぞれの思いで受け止めている。だから家族のものじゃないと。でもエッセーを読んでいると、これは父と話しているという気持ちになれるんです」

 父との“共通言語”は意外にも「映画」だった。普段の会話も映画の話題から切り出すことがよくあった。しかし、心にひっかかっていることも。「僕ね、スポーツにはまったく興味がなかったんです。野球の話ができなかったのは、本当に申し訳なかったですね」

 幼い頃から、父親に言われ続けた言葉がある。

zakzakの最新情報をSNSで受け取ろう