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【みうらじゅん いやら収集】どのエロ本よりも“ガツーン!”ときた雑誌「オレンジ・ピープル」 初めて見た一般人の投稿エロ写真

 随分、昔に買った雑誌『オレンジ・ピープル』。今でも大切に6冊ばかり持っているのだけど、初めて高円寺の怪しい本屋で手に取った時の衝撃はいまだ忘れられない。

 それは単なるエロ本ではなかったからだ。

 今でこそインターネット普及で、ありとあらゆるエロが自宅に居ながらにして見ることが出来るが、30年近く前は老刑事のように靴底を減らして本屋を巡り歩かなければ真に“グッとくる”エロ本は手に入らなかった。

 唯一の救いはビニ本でない限り、閲覧出来たこと。僕はその怪しい本屋の片隅で妙に表紙が当時、流行りのイラスト・タッチ(大滝詠一のナイアガラ・レーベルのレコード・ジャケット風)であり、雑誌タイトルも爽やかだったので見過ごしそうになった。

 それでも表紙に書かれたリード文『スワップ体験手記』など、やたら“スワップ”を押しているところが気になった。高校時代、スワンプ・ロックというアメリカ南部仕様の泥臭いサウンドにハマッたことはあったけど、スワップは初耳。雑誌を開いてみてクラクラした。それは今でこそエロの慣用句となった“スワッピング”(夫婦交換)の意味であるが、一般人の投稿エロ写真を見たのは本書が初めて。巻頭記事はとあるホテルで催されたスワッピング・パーティーの模様。全員、パンイチで何やらいやらしいゲームをしている写真が載ってた。

 そして『カラーフォト・メッセージ』。日本全国から寄せられたスワップ希望のメンバーのセクシー写真(主に妻)と、『妻158cm50kg、私172cm70kgの共に30代後半で仲のよい夫婦です。素敵な方々との出逢いを夢見てメッセージ致しますー』などと書かれたコメント。僕は当時、まだ若くていろんな愛の形があることを知らなかった。しかし、どのエロ本よりも“ガツーン!”とくるのは確か。素人の方が実はとんでもなくいやらしいことをしていると初めて教わったのだった。

 ■みうら・じゅん 1958年2月、京都市生まれ。イラストレーター、漫画家。コラムニストとしても知られ、97年に「マイブーム」で新語・流行語大賞を受賞した。現在、産経新聞・文化面で『収集癖と発表癖』(毎月第3水曜日)を連載。近著に『されど人生エロエロ』(文芸春秋)、『みうらじゅんと宮藤官九郎の世界全体会議』(共著、集英社)。

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