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【没後10年 阿久悠】岩崎宏美『思秋期』のレコーディングで涙… 飯田久彦氏「後にも先にもあのときだけ」 (1/2ページ)

★其ノ九

 昭和を代表する作詞家、阿久悠さん。手がけた多くの歌手の中でも、手塩にかけたのが岩崎宏美(58)だった。ディレクターを務めた飯田久彦氏(76)にとって、忘れられないシーンがあるという。

 「阿久さんは、岩崎さんのレコーディングだけは顔を出すんですよ。ほかの人のときはほとんど来ない。ピンク・レディーなんて1回も来なかったかも」

 そんな中、忘れられないのが『思秋期』(1977年)だ。「歌の録音のときに、阿久さんがスタジオに来たんです。レコーディングでは、宏美さんも思いがこもって、泣いて泣いて、何度もやり直したんです。それで、われわれももらい泣きしてしまって…」

 当時、16チャンネルで録音していたため、歌の一部だけを撮り直すこともできた。しかし「宏美さんは必ずアタマから撮り直していたんです。宏美さんの歌はどんどん盛り上がっていく。部分録りでは、この盛り上がりが作れないんです」。

 そして、思いがけないシーンに出くわした。「われわれも泣いていましたが、阿久さんも泣いていた。阿久さんの涙をみたのは、後にも先にもあのときだけでした」

 何度も撮り直した後、ようやく満足でき、「OK」を出したとき、阿久さんからこんな言葉をかけられた。

 〈今の『OK』の温度の高さは、必ず宣伝マンに伝わり、営業マンに伝わり、店舗に伝わる。適当にやった『OK』は、それなりに伝わっていくんだ〉

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